Thank you! 30Years!サザン・ふぉればー

 一雨ごとに秋めいて。今年の夏のドを越した猛暑もようやく収束してホッとする反面、夏の終わり特有の物哀しさが漂ってきたのも事実。
 ああ、今年の夏も、何もしなかったわ・・・(いつもこれね 笑)。
 さて、そんなワタシの今年の夏のBGMは何だったかというと・・・サザンなのよね。今さらっ?うん、そういわれるのはわかってる。でも、40オトコの夏の定番は、やっぱり!いつだって!サザンオールスターズ!なんだってば!
 というかね。なぜサザン?といえばやっぱり、桑田さんの健康問題が大きいと思うのよね。しんみり。
 そんな俺が今年よく聴いたのがこの2枚。
 バラッド '77~'82キラーストリート (通常盤)
 なんとこの2枚、初回発売に30年近くの隔たりがあるのよね。なのに、交互に聴いてても何にも違和感が無いというオドロキ。ジャパニーズ・モースト・(ワンパ・・・いやいや)スタンダード・グループである(笑)サザンたる所以ね。
 サザンの夏。日本の夏。これよ。
 鍵となるのは、2005年発売の『KILER STREET』。サザンオールスターズが原点回帰したといわれる14th。既発シングル5枚「涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE」「彩〜Aja」「君こそスターだ」「愛と欲望の日々」「BOHBO No.5」とそのカップリング収録、とはいえオリジナル20曲近くを加えた全30曲収録なのだから、シングル寄せ集めアルバムなんて言わせないぜベイベー、みたいなね。サービス精神旺盛な桑田さんの心意気を感じずにはおれないアルバムなのだ。
 シングル曲だけ見ていると、近年は確かにヒット狙いの無難な曲が多くなったように思いがちだけど、このアルバムを聴く限り、「BYE BYE MY LOVE」を彷彿とさせる哀愁&ブルース歌謡(「セイシェル」「夢と魔法の国」など)をはじめ、マイナーメロディーが熱いゴー・ゴー・ソング(「BOHBO No.5」「夢に消えたジュリア」など)に思わず「匂艶 THE NIGHT CLUB」の香りを感じさせられたり、ビリー・ジョー(=ジョエル)風の曲(「神の島遙か国」「恋するレスポール」)が登場すればアルバム『NUDE MAN』の時代がフラッシュバックしてきたりで、ホントに、サザンの長年のファンにとってはおそらく、聴くほどに腹にズシンと落ちてくるであろうアルバム。いわば(今思えば)80年代以降のサザンの集大成と言える作品集なのかも。
 これ以外にも90年代のソロの桑田さんが披露した渋い路線(「からっぽのブルース」「Friends」)あり、美しいメロディーが光るオールディーズ風ロケンロー(「ロックンロール・スーパーマン」「別離(わかれ)」)あり、ハラボーのホンワカとした歌声(「山はありし日のまま」)ありで、それだけでアルバム『KILER STREET』は俺たちの30年間の夏の思い出を一息に串刺しにして、すぐさま『バラッド'77〜'82』の時代までタイムスリップさせてくれるような気がするのだ。
 さて、まさに40代のマスト・アイテムである『バラッド'77〜'82』。クワタ哀愁歌謡の真骨頂「朝方ムーンライト」から始まって「夏をあきらめて」、オールディーズ風バラードの傑作「YA YA〜あの時代を忘れない」そして「忘れじのレイド・バック」。小粋なAOR「シャ・ラ・ラ」、「素顔で踊らせて」。ホノボノハラボーの「流れる雲を追いかけて」。。。こちらは、今さらながら改めて桑田さんのメロディーのひらめきの凄さを感じさせてくれるサザン黎明期の魅力が凝縮されたアルバムだ。
 結論。2枚を聴き比べて。サザンオールスターズサウンドは30年間ほとんど変わっていない。変わっていないからこそ、重ねた年月の澱(おり)がいい意味で音のあちこちに溜まっていて、そこがまたサザン(桑田)サウンド独特の旨味になっているようにも思えるのだ。
 私たち年代のサザンオールスターズファンが味わっているもの。それは、サザンとともに年齢を重ねてきた人それぞれが大事にしまっている30年間の“夏の思い出”なのね。そう。きっと、そう。

「「シャ・ラ・ラ」〜あの頃のサザン〜〜その他よもやま話」
「“ハラボー”〜桑田サザンを支える「陰の実力者」」