石綿被害、政府の対応検証へ 補償・支援も検討

 細田官房長官は21日の記者会見で、アスベスト石綿)の健康被害の拡大に関連し、これまでの政府の対応を検証して、7月中に公表する考えを明らかにした。行政側の責任の所在を明確にする狙い。被害者に対する補償や支援が可能かどうかも検討する方針だ。

 細田長官は「過去の(政府の)規制の対応、実態として(石綿が)どう使われてきたかも含めてまとめたい」と、行政の対応を検証する考えを表明。そのうえで、政府の対応が「(被害の)原因であるのかないのかも含め、きちっと分析し、対応したい」と、被害拡大との因果関係を分析する考えを示した。

 「責任の所在を明確にするのか」との質問に対し、細田長官は「そういうことだ」と言明。行政の責任が確認された場合は、被害者個人への補償や支援についても「当然、検討の対象には含まれると思っている」と語った。

 この問題では、周辺住民らへの影響の可能性を旧労働省が76年に通達しており、実態を把握しながら政府の対応が遅れたとの批判が出ている。これについて西博義厚労副大臣は20日の衆院厚労委員会で「決定的な失敗だったのではないか」と答弁。一方、厚労省の戸苅利和事務次官が21日の会見で「失敗ということではないんじゃないか」と指摘するなど、政府部内で認識に食い違いが出ている。細田長官は「それぞれの思いで発言しているところがあり、きちっと統一する」と語った。

 ただ、戸苅次官は通達が出た当時の状況について「どこまで関係機関に徹底していたのか、もう少し事実関係を把握する必要がある」とも述べ、政府の対応の検証に取り組む姿勢も強調した。

2005/07/22(金) 09:16:10

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