シネサルの「映画のブログ」

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 『ある子供』 ★★☆

【原題】L'Enfant(意味「(ひとくくりに)子供(というもの)」【英】"The child")
2005年、ベルギー=フランス、カラー、1:1.66、95分、フランス語&アラビア語&ロシア語(日本語字幕)
【監督&脚本&製作】ジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌ、他
【出演】ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、他
2013/12/06(金)鑑賞、NHK-BSプレミアム放映
<ストーリー>
 20歳の青年ブリュノ(レニエ)は、日銭を稼ぐために盗品を売りさばいたりしていた。
 18歳の恋人ソニア(フランソワ)との間に生まれた赤ん坊を無断で売ったことでソニアに激しく拒否され、彼はソニアのために子供を取り戻すが、養子斡旋業者から高額の違約金を強要される。
 追い詰められた彼は、手下の少年スティーブ(スガール)とバイクで引ったくりをするが失敗し、刑務所にいる彼の元にソニアが面会に来て、2人は亡きながら抱き合った。
<感想>
 過去のダルデンヌ兄弟作品『ロゼッタ』『息子のまなざし』のパターンを踏襲している。
 ストーリー的は、社会的弱者や精神的苦痛を背負わされた人々の苦悩が全編に渡って続いた後、ラストで重荷が解き放されて希望を感じることができること。
 演出的には、言葉少なに一人で黙々と動き続ける主人公の姿を、すぐそばで手持ちカメラでひたすら追い続けること。
 このように作られた彼らの作品からは、可哀想な人の傍らに寄り添って、不幸から脱してほしいと思いながら優しく見守るという、監督が抱いているであろう想いを観る者も共感できた気分になり、ドラマとしても見応えがあるのは確か。
 その反面、飾り気のない演出スタイルの作品においては、相対的にフィクションとはいえ「不幸な人々」の存在に大きく依存していて、他人の不幸をネタにしていることの後ろめたさがどうしてもぬぐえない。
 以上が、ダルデンヌ兄弟監督作品をどう評価していいか悩む理由である。
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