皆さん、こんにちは。どうぞよろしくお願い致します。

わが家の中1の息子は3人兄弟の末っ子です。わが家には8歳年上の大学生の姉と4歳年上の高校生の姉がおり末っ子長男ということになります。塾の先生に言わせると、「おー、レッドカーペットの上を歩いてきたんだな」ということで、いちばん教えにくいタイプだそうです。確かに、かわいくて愛おしくて仕方のない恋人以上の存在です。
私は長女でも中学受験を経験しました。そのときは偏差値表もバッチリ頭に入っていて偏差値が高いほど良い学校だと信じていました。自分では名マネージャーに徹していたと思っていましたが長女の受験が終わったとき、私の母から「あなた、ちょっとおかしかったわよ。言うと怒るから言わなかったけど」と言われました。中学受験は母親にとって出産みたいなもの、終わって判ることもたくさんありました。
次女はピアノをやっていたので、中学・高校と公立に行きました。
さて長男です。中学受験を考えたとき、寮のある学校というのが「ポッ」と私の頭の中に生まれたのです。そうなるのが必然のような出会いが重なり、導かれるように寮に対する思いが強くなりました。理想の教育環境を考えても、身内の意見を聞いても、うちの子には寮が良いだろうという私の結論になりました。
それが4年生の頃です。あと3年、あと2年、あと1年と一緒に暮らせる日々を一期一会の思いで過ごしてきました。息子といるその一瞬一瞬を大切にしたいという思いです。何でも話してくれる息子が嬉しかったです。反抗期なんか来ないでほしいよ、と思いました。「やっぱりラ・サールやめない?お母さん寂しいよ」と言うと、「ぼくは行くよ」と強い意志を見せる息子でした。仲良し親子と私は思っていても、母親の呪縛から解放されたい、と案外本人は思っていたのかもしれません。
昨年の学校説明会では、DVDを見ては泣き、お母様の話を聞いては泣いていた私でした。
そこで、井上副校長に「第一志望です」と宣言することにより自分の迷いを吹っ切りました。それで何と先生の前でも泣いてしまったのです。
合格は私1人で自宅で知ることになりました。嬉しくて号泣するというのは生まれて初めての体験でした。この際だ、この喜びを思いっきり噛みしめよう「嬉しいよー、ありがとうー」と叫びながら泣いていました。これから先も、この時の私を忘れないようにしたいと思います、ありがとうございました。
塾の先生に恵まれ、学校の担任の先生にまで恵まれ、息子も伸びきったゴムにならず楽しく勉強でき良好な親子関係で第一志望に合格できたことで感謝、感謝の受験でした。
函館ラ・サールが第一志望だったので、受験は1月9日だけで済んでしまいました。うちの小学校は卒業式で壇上の卒業証書授与の前にひと言スピーチをするのですが、皆がそれぞれの夢を話すなか、うちの子は「心機一転、規則正しい生活をしたいと思います」と言いました。会場から笑いが起こりました。「寮にはいるから」のひと言を付けて欲しかったけれど、カッコつけないところが彼らしくて良かったと思います。
それからひとつひとつの衣服に寮生番号を縫い付けたり、制服を作ったりと慌ただしく日々は過ぎていき、ついに入寮式・入学式で函館に旅立つ日が来ました。函館の湯の川温泉には明日、入寮式かと思われる家族を何組も見かけました。これから一生の友だちになるかもしれないんだな、と思うと私もワクワクしてきました。息子が寝てから布団をずずーっと寄せてくっつけて手を握ってみました。いつまでも寝顔を見ていたものでした。
彼に手紙をもらいました。
「お母さんへ。ぼくを今まで育ててくれてありがとう。ぼくはその気持ちがいっぱいです。ぼくはよく悪いことをしたりケガをして心配させたけど、もう函館に行ったらできるだけ気苦労をかけない努力をします。」
寮ではいろいろなことがあるみたいです。でも気苦労をかけないようにか、マイナスなことは何ひとつ言いません。本当はあるんだろうな、と電話を切ってから思うこともありましたが。
入寮式では、子どものベッド、ロッカー、机まわりをそれぞれの親が一生懸命工夫してレイアウトしていました。どうか散らかさないでの願いを込めて。よくラ・サールのお母さん達と話していて聞く台詞に「さすがに拙いと思ったらしく」があります。整理整頓も成績も自分で何とか改善していくしかないようです。あと「携帯がないだけでも良いわー」というものあります。携帯で友だちと繋がっていなくても、いつも友だちが近くにいる環境でお風呂にまでいつも一緒なんですものね。
携帯もゲームもない、そして渋谷もない。東京は、私は大好きです。しかし何となく生きていると物質的刺激の海に溺れてしまいやすい。それよりも函館は良いです!地方都市独特の穏やかさと品性のある街だと思いました。自分のなかに美しい故郷、いや海などの広がりのある風景を持てることは幸せだと思います。
入学式が終わって函館かたら帰ると、ホームページに入寮式の写真が載っていました。とてもいい顔で写っていたので安心しました。そのとき、不思議と寂しくありませんでした。ただ「暇だな」と思いました。20年間も子ども中心の生活をしてきたものだから無理もないのかもしれません。
長女が大学に入学したときに思ったことがあります。「地方の親御さんたちは、子どもを独りで東京に出すんだな、どんなに寂しく不安だろう、それに引き替え私は幸せだわと。」
でも娘はそういった「親のありがたさ」や情緒は判っていないだろうな、と思いました。息子も東京の中学、高校、大学、就職ということになるより、一度、外から東京を見た方が良いと思いました。
寮生日誌を読むと、友人のこと、勉強のこと、進路のこと先生や親に対する思いなどが綴られていて読み返すたびに感動します。
「行く価値のある場所への近道はない」はヘレン・ケラーの言葉ですが、皆さんもたいへんな努力をされていると思います。
函館ラ・サールは十分に行く価値のある場所であると、私たちPTA関東支部のみんなが考えています。
また皆さんと入試当日や合格者説明会でお会いできることを楽しみにしております。
どうもありがとうございました。