この番組はバラエティ要素が強いなりに「その時」の位置づけに工夫があって*1、必ずしも過去の全てを肯定しないのだが、今回は水平社運動をほぼ全面的に成功と位置づけている。……これは運動に遠慮した、という理解で良いだろうか。
「その時」から直線的に被差別部落解放に繋がったと感じかねない構成では、水平社設立以降の長い戦いを生きた*2人々にも失礼ではないかと思うのだが。一応は、現在も被差別部落問題は終わっていないという風にはなっていたが……
それはそれとして、被差別部落の民を清潔にするよう指導し、さすれば民衆の同情を得て差別がなくなると考えた日本政府の方針には、現在の中国政府を思い出す。チベットに対して経済的な支援を与え*3、進歩的な教育を与えていると中国政府は考えているのだ。だが、番組で強く指摘されたように、同情という態度は形を変えた差別にすぎない。良心的なつもりでいるだけに批判を受け入れないし、ごく普通の人も陥りやすい誤りでもある*4だけに注意しておきたい。
むろん、番組制作期間から考えるとチベット問題を意識したわけではないだろうが、現代にも様々な場面で残る普遍的な問題を感じた*5。