法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』時を走れ!タイム借り物競走/時限バカ弾

サッカー番組の宣伝で、ドラ顔ジャンケンに実写ワイプでサッカー解説者も参加。


「時を走れ!タイム借り物競走」は、借り物競争の練習で、さまざまな時代の物品を借りる秘密道具を出す。のび太しずちゃんジャイアンスネ夫にチームを別けて、タイムスリップするが……
運動会シーズンにあわせたアニメオリジナルストーリー。脚本は清水東。コンテのそーとめこういちろうは、2016年1月*1以来のひさびさの登板。4人も作画監督を投入して、さまざまな時代の光景をTVアニメなりにしっかり映像化できていた。
まず、「タイム借り物競走キット」なる、このゲームでしか使えなさそうな秘密道具を新しく設定。しかし時代を超えて会話するために既存の秘密道具「ほんやくコンニャク」をパン食い競争的に組みこむことで、作品世界になじませている。原作でも「クイズは地球をめぐる」*2の「アクションクイズ」のように、ひとつのゲームに特化しつつ他の秘密道具と組みあわせる秘密道具がある。
また、チーム別けはハンディが大きすぎると思ったが、ジャイアンスネ夫が断りなく物品を借りてきて最初からやりなおしになったり、体力以外のところでバランスがとれているのもいい。秘密道具をつけたままなので本番に失敗するオチもベタだが悪くない。
借り物競争におけるコミュニケーションの大切さや、さまざまな歴史の豆知識を描くことで、子供向け番組ならではの教育的側面もある。今回はシンプルなストーリーで無理なくバラエティあるビジュアルを楽しめた。


「時限バカ弾」は、しずちゃんを楽しませる話をしている出木杉に、のび太が嫉妬。つけた相手の頭をバカにするタイマー式の秘密道具で、しずちゃんの前で出木杉の恥をかかせようとするが……
2006年に安藤敏彦コンテ演出で映像化した後期短編を、今回は大杉宜弘コンテで映像化。スラップスティックな描写を好む両演出家にうってつけなストーリーだからか、普段と違って原作のテイストがそのまま出ている。
実際にアニメオリジナルの部分は少なくて、落としてしまった秘密道具でスネ夫母と先生がバカになる一幕が追加されているだけ。バカになったキャラクターの狂態をたっぷりアニメーションで見せたり、激怒したジャイアンを描線のタッチを変えたりして、迫力を足す方向で映像をアレンジ。
主人公がバカになった状態で終わる原作のオチもそのまま。原作の映像化としては理想的な回だった。