『実寸』できました。

東北に住む有志の集まり「実寸編集委員会」が発行した、東北6県の福祉作業所で生産される、多彩な製品を実寸サイズで掲載する冊子『実寸-JISSUN』のご紹介をします。

■「実寸」の意義
普段の生活において、私たちは「表現物が実寸サイズかどうか」ということを、あまり気にとめることはありません。むしろ、対象物を拡大・縮小して表現できることによって、その表現の幅は広がっているとも言えます。しかし、例えばデジタルカメラで対象物を撮影し、コンピュータのインターフェースに表示させる過程で、「実寸が抜け落ちるように加工が施されている」と考えるとどうでしょうか。そう考えると、情報化が進む現代において、私たちはそのような「加工」が施された、膨大な量の情報を毎日のように眺めていることになります。
この一例に洩れず、この世界にあふれる見知ったはずの情報には、あらゆる「加工」が施されていて、そこから何の偏見もない現実を推察するのは至難の業です。そんな状況のなか、「実寸」でこれを見直すだけでも、まだまだ未知のものとして、私たちの眼に映るのではないでしょうか。

■特集 東北の福祉を実寸で読み解く
大正時代末期に起きた「民藝運動」は、手仕事による工芸品の実用性に美しさを見出すものでした。これをきっかけに、これまで東北の地においても数々の工芸品が紹介されてきました。
しかし、東日本大震災発生以降、私たちはそのような美しさに言及する隙を失くしつつあります。日常を下支えていた多くの支柱を失った今だからこそ、何が我々の生活を豊かにしていたか、再考する必要があります。特に現代においては、福祉作業所が工芸品の作り手としての役目を担っているところがある一方で、その多くは正当な評価を得ているとは言い難く、作り手にとって恵まれているとは言い切れない現状があります。
私どもはこのような福祉作業所を「工芸の最後の砦」と位置づけます。本特集では、紙媒体の特性を活かし、製品を実寸サイズで掲載することで、東北の福祉を読み解き、広く知らしめることを目的とします。

立ち読み動画


■冊子概要
発刊日:2013年8月1日
サイズ:A4判横長48ページ
内容:インタビュー、製品紹介(35製品)、福祉関係者による座談会、ほか
販売価格:定価 1,000円 (本体952円)
販売方法:各地の書店・雑貨店・カフェ・イベント等で取り扱うほか、ホームページにて受注。
*取扱店は随時ホームページにて更新。

実寸ホームページ


チラシ