インプラントと「なぜかシュークリーム」

そろそろ十月の話をしましょう。

春からつづいていた出稼ぎ(ハタリはときどき校正屋にもなります)を終え、フリーランス「ハタリブックス」の椅子に戻ったのが十月一日。さて、さっそくのんべんだらりと朝ねぼう〜と思いきや、昼前に歯科の予約を入れていた。軽く考えていた奥歯のインプラント手術。「オペ」というだけあって、予想をはるかに超えた闘いとなり、「もうやだー、かえるー」と涙目になった(個人差があるのですが、わたしはわりと厄介な部類だったのではないかとおもう)。抜歯後の痛みと頭痛でもうろうとしながら、冷えピタを頬に貼り、ビール謹慎中で水ばかりを呑む数日間。

そんなヨレヨレの体でもフラフラと歩きまわり、取材のご相伴で「今半」の鉄板焼きをごちそうになったり、名古屋へリハーサルに出かけたり、待ちに待たせていた台本を書いたり、役者さんの稽古や打ち合わせを重ねたり、誰にも頼まれていないあてもない大事な物語を書いたり、名古屋在住の同級生に会いにいったり。すべての仕事と余暇は鈍痛と供にありました。

名鉄のとある無人駅で出合った夕景。

こちらは柳原通商店街の有名な貼り紙「なぜかシュークリーム」。お店のショウケースには何のケーキも並んでいなくて、相当ひるむ店構えだったけれど、おじさんがその場でオーブンから取り出してきたシューは音が立つほどサクサクしていて、その場ではさんでくれたカスタードクリームもミルキーで、近年なかなか出会えないノスタルジックな味わい。おいしかった! 名古屋城まで行ったなら、どうぞ足を伸ばしてみてね(外堀に敷かれていたという名鉄瀬戸線の線路跡も見られるし、現行の地下を走る名鉄線が地上に出てくるスポットもすぐそばだよ)。

【トリアノン】 名古屋市北区柳原4丁目4-4 電話 052-913-2768

名古屋「ホテルトラスティ名古屋栄」

リハだー仕込みだー打ち合わせだー本番だー営業だーと、音楽制作のあれやこれやで季節ごとに一度は名古屋に行っているので、名古屋行きはもはや「旅」ではなく「出張」のほうが近いのだけれども、今回はリハーサルと会場打ち合わせの間に三日間の暇が出来たので、そのまま名古屋に残ることにした。さて単身、名古屋では四年ぶりのホテル泊。

そこで今回選んだのは「ホテルトラスティ名古屋栄」。栄駅至近、オアシス21と呼ばれる広場と、NHK、昨年五月に鬼頭ブラスもコンサートを行なった「愛知芸術劇場/芸文」のすぐそばにある小さなホテル。ビジネスホテルにしてはこぎれいに、女性向けにしつらえられた調度品とマダーム受けしそうな雰囲気。多少やりすぎの感はあるけれど、シンプル自慢ばかりの小奇麗系チェーンホテルのなかでは珍しく「旅心」を与えてくれるのはうれしい。フロントの接客態度も上品で、エントランスのソファスペースがもうすこし広くて椅子数が多ければ言うことなしかしら。今回は「デラックスシングル」のお部屋に連泊。通常の「シングル」とのちがいはなんだろう、ベッドがやや広めなのかな。ツインやダブルはどうかわからないけれど、シングルの部屋に関しては、想像していた快適さはエントランスほどではない気がします。わたしが予約したプランは早割で一泊7,500円(デラックスシングル/時期などによって変動します)で、それほどコストパフォーマンスが高いとも思えないのだけれども、栄駅すぐそばという立地を考えると便利だし、ビジネスホテルにはない気取りを含めると妥当なセンかと思います。といっても、この二日間は三越におやつを買いに出かける程度で、あとはお篭もりで仕事をしていたのだけれどもねえ。

【ホテルトラスティ名古屋栄】