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ナナメヨミ日記

2013-12-27

2013年のベスト本

 もう少しで2013年も終わりです。今年はいろいろ読書を重ねて勉強する一年になるはずだったんですが、精神的に参ってしまっていた面もあって、勉強がはかどりませんでした。いろいろと興味をもって本を手に入れてもなかなか読み進められない、やる気が出てこない一年でした。心身ともにベストの状態を維持することを来年の目標にしたいですね。言うのは簡単でも実行するのはなかなか難しい目標ですが。

 さて、そんななか、なんとか読むことのできた本もいろいろありました。ことし読んでよかった本は今野晴貴「ブラック企業」(文春新書)と濱口桂一郎の「若者と労働」(中公新書ラクレ)ですね。これまでの若者雇用問題といえば、派遣・フリーター・格差社会論など「就職できない」というところに焦点が当てられていましたが、正規雇用の悲惨な実態、日本型雇用システムの延長にブラック企業があるという主張は、私は自分自身の経験で理解していたのですが、それをすっきりと「交通整理」して勉強できたので非常にためになりました。「ブラック企業」はネットを中心に以前からあった言葉ですが、メディアにも頻繁に登場するようになり(流行語ベストテンにも選ばれる)、社会問題・労働問題として一般に認知されるようになったことは大きかったですね。ブラック企業をなくして労働環境をよくするには働く人たち自身が自分たちの職場で声を上げなければいけない、という意識が広まるようにしていきたい、私はそういう目標を持つにいたりました。今の世の中、「制度設計」で世の中の問題がガラリと解決するとか、カリスマ的なリーダーを信じていれば何とかなるとか、労働問題は自己責任だから能力を上げて仕事をすれば問題ないとか、労働問題を正面から捉えない風潮が広がっていますが、労働問題って結局、痛みを受けている本人が声をあげなければ「無かったこと」にされてしまう。私も過去の経験で声を上げること無く、疲れ果てて会社を辞めた経験があるので、すごく後悔があります。労働問題に関して、「リベラル派の中高年はなぜ若者雇用問題をもっと訴えないんだ!」と「リベラル派中高年」を批判する意見をこのまえネットで見ましたが、まず当事者が声をあげることなくして問題をしらしめることはできません。労働問題ってなかなか訴えにくいんですが、何かしら労働の実態を社会に伝えていく主体的な努力を抜きにして、「リベラル派」「正義の味方」が助けにきてくれるのを待つという態度ではいつまでたっても問題は解決しません。ブラック企業で過酷な労働を強いられると、精神的にすり減ってなかなか社会的に訴える力は湧いてこない(実際に私もそうでした)んですが、それでも小さな声でも良いので、声を出さないといけないですね。

 そのためには働く現場の人が「勇気」を持つことも必要ですが、同じくらい「ブラック企業で過酷な労働をしなくても生きていけるビジョン」を示さないといけません。「勇気」を煽るばかりで、その後はほったらかしでは結局、ブラック企業を辞めても、また別のブラック企業に就職せざるをえない状況に追い込まれることになります。労働運動って難しくて、企業を敵に回すような言動になりがちですが、それだと生きていけないわけで、企業・社会との落としどころも必要になってくる。労働問題(派遣切り、偽装請負、不当解雇など)で裁判闘争をしている人の新聞記事を読んだことがありますが、裁判闘争が長引いたために離婚して1人で生活保護を受けながら、それでも戦っているという話だったので複雑な気持ちになりました。戦う人がいないと不公正な社会は変わらないし、私にはとても出来ないことなのでただただ頭が下がる思いなんですが、どこかで折り合いをつけるやり方をとったほうが本人には幸せだったんじゃないかと思ったからです。戦い続ける人を立派だと思う反面、戦うという選択肢を選ぶと家族崩壊して就職もできないような苛酷な状況に追い込まれるというのでは、「戦い」を躊躇する人がたくさん出てきても責められません。セーフティネットを国民自らが作り上げて、もっと戦いやすい環境をつくらないといけない。グローバル資本主義の時代における新しい労働のあり方、人生のあり方をモデルとして提示して、会社のいいなりになる働き方を「歴史のゴミ箱」に投げ入れないといけないですね。

 本の内容にはほとんど触れず、労働問題に向き合う態度の話ばかりでしたが、いろいろ考えさせられたという意味で今年のベスト本でした。