児童の心臓疾患の話 (今年の結果)(全国、福島県、茨城県、取手市)

取手市の続報については、この記事の最後のほうに記載しています)


昨年の年末に、児童の心臓疾患や心電図異常が増えているという報道がありました。
数ヶ月はネット上などで大きな話題となっていたものの、最近は全くと言って良いほど誰も言及しなくなっていました。
(たまに googleツイッターで検索していたのですが、新しいブログ記事などは引っかからない)


全国の結果の推移

そんななか、今年の結果を文科省が公表しました。
速報のため都道府県別などの数字はないので、全国の推移をグラフ化してみました。
学校保健統計調査:文部科学省
最新結果一覧 政府統計の総合窓口 GL08020101


(幼稚園の心電図異常のデータは無し。また心電図異常は平成7年から集計している。心臓疾患のデータは平成元年からグラフ化した)


直近3年位の変化だけなら増えているように見ることも可能でしょうが、もっと過去から比べると変動の範囲内、もしくは長期的な増加傾向の一部と考えるのが自然な解釈と思えます。


全国レベルだから変化が表面化しないという意見もあるでしょう。でも、放射線の不安を感じておられる方々は、かなり広い範囲に健康に影響を及ぼす量の放射性物質が拡散したと考えておられるようで、それならば全国レベルでも数字の変化は見えるはずです。
数字を減らすような要因(放射線の影響を相殺するような要因)と相殺されているならともかく、減らす要因は私には思いつきません。(震災によるストレスや運動不足など、増加させる要因ならありそうですが)


意図的な操作を加えた数字だという見方もありそうですし、私も国などの数字を盲信するつもりはありませんが、それを言い始めたら「自分の脳みそ以外は全て偽物」になってしまいますから、それは無しでお願いします。
あと、まだ3年しか経っていないのだから、10年後のことは分からないという見方もあるでしょうが、「少なくとも現時点では」変化は無さそうということでご理解ください。(将来もないだろうと想像はしてますが)



今月の末から来月になれば、それぞれの都道府県のウェブサイトで結果を公表すると思うので、その数字も集計すれば、もっと明確になるのではないかなと思います。
昨年分は、以下のブログで8都県分を集計・グラフ化されています。各都道府県へのリンクもあるので、今年の分もそこから探すと簡単かもしれません。
学校保健統計「心電図異常」全国平均プラス8都県の結果をグラフにしてみた - みんな楽しくHappy♡がいい♪




(追記)

福島県の結果の推移

福島県の学校保健統計調査の速報がウェブサイトにアップされていましたので、グラフ化してみました。
結果を見ると、今年度は昨年度よりは上昇しているものの、小学校と高等学校では過去と同様の数字であり、中学校も震災前の高い数値と同じでした。
平成23年度は震災のため調査なし。16〜18年のデータがないのはプログ主の手抜きです。)
福島県ホームページ - 組織別 - 平成25年度学校保健統計調査速報


福島県統計課編 平成25年度学校保健統計調査速報から抜粋・作成」


茨城県の結果の推移

茨城県の結果(速報)です。
平成25年度 学校保健統計調査結果速報
この結果をもとに、分析されている方のブログです。

ベレッタのナナメ45度視点! 平成25年度茨城県学校保健統計調査にみる「心電図異常」や「心臓の疾病・異常」
平成25年の茨城県の結果は全国平均や事故前の茨城県の数値と比較すると異常値とは言えず、心電図異常の数値は問題となっていた小・中学校で低下し、心臓の疾病・異常も事故前と変化がありません。

去年の中学12歳に見られた数字が「たまたまハズレ値」であっただけで、こういう数字は年度や都道府県を変えれば見られます。

たまたま「茨城県」であったから騒がれただけというわけです。今年の結果から言えば、ほぼそうでしょう。

茨城県のデータをグラフ化してみました。
平成24年度の中学生の数字が突出していただけで、今年の数字は過去の変動の範囲内でした。

茨城県のウェブサイト(平成17年度についてはウェブサイトに見当たらず)
(追記ここまで)




取手市の結果の推移

昨年の報道のきっかけになったのは茨城県取手市の結果でしたが、今年の結果が11月に新聞記事になっているのを見つけました。

東京新聞:子どもの心臓 異常減る 取手市立小中 本年度検査:茨城(TOKYO Web)
2013年11月14日
十七人が「要精密検査」と診断され、前年度の七十三人から大幅に減少したことが十三日、検査を実施した市教委の公開資料で分かった。(略)
突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」と、その疑いがあると診断されたのは四人で、前年度十一人から大幅に減少した。
 また、診断で心臓の疾病、異常が認められた要管理者も二十四人から十四人とほぼ半減した。

(上記の引用をした直後に、東京新聞のウェブでは表示できなくなっていました(ウェブ掲載の期限が過ぎたため)。転載していたブログがありました。子どもの心臓 異常減る 取手市立小中 本年度検査 ~ 保育園・幼稚園・学童保育のことなら『保育業界ニュース』


記事にある数字をグラフにしてみました。
(とりで生活者ネットワークさんの「2013年7月 茨城県 小中学校検診・心臓検診 市民調査中間報告(1)」の画像に平成25年度分を追記加工して作成。
なお、新聞記事の数字と、昨年までの数字では、集計した範囲が異なるらしく単純な比較はできないようです。しかし大きな違いにもならないはずです)

このグラフを見れば安心できる保護者も少なくないと思うのですが、市民団体や活動されている人のウェブサイトなどでは誰も触れていないようですね。
仲間内の SNS や、クチコミなどでは伝えていたのかもしれません。でも、不安を持つ保護者は日本全国に居るでしょうから、結果の解釈を出来なかったとしても、新聞記事の紹介ぐらいはして欲しかったです。というか積極的に拡散するのが責務だろうにと思います。
まぁ、いろいろと大人の事情があるんでしょう。 大変、残念ですけど、やっぱりなぁという気持ちです。何を目的としていたのやら。




当ブログの関連記事
2013-10-02 - ひつじのメモ 児童の心臓疾患の話




本文記事とは関係ありませんが、たまたま見かけたので記録のためリンクしておきます。バランスのとれた意見だと思います。

放射線を正しく怖がりましょう:日経ビジネスオンライン


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