漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

隣の芝生

■台風で昨日の夜から雨雨雨。窓を開けたまま寝たら、起きたら布団が湿っていた。その雨も夕方には止み、今はひんやりとした風が吹いている。

■雨の上がったあと、車のそばを大きなミミズがのたくっていた。雨になるとミミズが地上に出てくるのは、土中に水が染み込み、呼吸が出来なくなるからだと中学だか高校だかの授業で聞いた。といって、アスファルトの上じゃ日干しになるのを待つばかり。つまんで土の上へ放ってきたが、『蜘蛛の糸』みたいな恩返しがあるだろうか。もっとも、“蜘蛛の糸”だから地獄から這い上がれるので、“ミミズの穴”じゃ、地獄の最下層まで連れていかれそうだ。

■訪問は休みがひとつ入って1件のみ。ものすごい量の夏休みの課題を手伝う。その後、氏家医院月例研究会。「パーソナルアシスタント・ペング」なる団体を知る。1年半前に発足。図画工作を通して発達障害の子と関わる活動をしているという。

■俺も絵が好きなので、訪問で一緒に絵を描こうと誘うことがままあるが、筆を手にする子は少ない。その点、ちょっと「ペング」の活動をうらやましく思った。聞けば自宅へ赴いてのコースもあるという。興味深い。

■まあしかし、もし俺が音楽が好きで、訪問のたび楽器を弾いて「歌おうぜ」とか誘ってたら、それはそれで鬱陶しい。訪問としても間違いだ。うらやましいのはうらやましいとして、やっぱり今のままでいいんだろう。隣の芝生はナントカ。そのうち描きだす子は描きだすさ。

■「ペング」という名前は、「ペンと絵の具で自分の生活という大きなキャンパスを自由に描いていってほしい」という願いを込めてつけたそうだ。「漂流教室」という名前も「人生という大海原をふらふら漂っていけばいいじゃないか」という投げやりな気持ちのもとつけた、わけではなくて、金がなくて教室を構えられず、訪問形式にしたのがその由来。もう少し自慢できる由来があればって、これもやっぱり隣の芝生はナントカか。