貸出・返却装置

新任担当者研修会の図書館見学では、当初の予定より時間が少なくなり、説明不足の部分がありましたことを申し訳なく思っております。このブログで補足していきますのでご質問がありましたら、どうぞお寄せください。

皆さんからのお問合せが多かった貸出・返却装置についてです。

当館では全ての図書・雑誌資料にバーコードが付与されています。 貸出は身分証明書をIDリーダーに差し込むとパソコン(タッチパネル)に貸出票が表示され、所属・名前と現在の貸出可能冊数が示されます。

バーコードリーダーで図書のバーコードを読み取り、画面で返却日などを確認し、貸出処理は終了します。

返却はバーコードが貼られた面(表紙下部)を上にして返却口から入れます。返却口のセンサーでローラーが動き、その間にバーコードを読み取ります。 読み取れた場合はGoodの返却ボックスへ、読み取れなかった場合はNo Goodのボックスへ入ります。



貸出は他の図書館でも同様な形で行っていることが多いようですが、返却を自動的に行っているところは、10年前当時ほとんどありませんでした。24時間利用の中でどのように返却処理をしていくかは、検討課題のひとつでした。
図書館機器メーカーとも相談しましたが、最終的には当館に近い大田区の町工場に返却装置の作製を依頼することとしました。

ローラーの上を大きさ、厚さがさまざまな図書から薄い雑誌まで走らせることと、バーコードを読み取り、その情報を返却システムのパソコンへ送ること、これが一番のネックでした。
町工場で何度も打ち合わせをし、試作品を見せてもらい、何とかできそうと言われた時は、さすがに世界に知られる町工場の底力と、うれしかったのを覚えています。今でも油まみれの工場の匂いが忘れられません。

何冊もの図書を工場へ貸し出し、どのようなサイズの図書、雑誌でもスムースにローラーで動くようになり、情報をパソコンで受けとれるまで一年近くかかりました。


職人さんたちのいいものを作ろうという意気込みと、工夫には驚かされることが多かったです。 手を怪我しないよう返却口のセンサーが動くタイミング、ローラーから図書を返却ボックスへ落とす角度など、ベルトや小さな部品を取り替えながら何度も試験をしていました。
図書・雑誌の返却ボックスはカウンターの高さにあわせ、衣装ケースを利用したもので図書が傷まないように吸水シートを底に敷いてありました。



出来上った装置をカウンターに連結し、図書が無事返却になることを見届けたときは「町工場万歳」と思ったものです。

昨年オーバーホールをしましたが、技術と知恵と熱意の詰まった装置ですので、ずっと現役で働いてもらいたいと思っています。

(Y.H)