NHKスペシャル「敵対的買収を防げ・新日鉄・トップの決断」

5月7日放映分だからだいぶ時間が経ってしまった。
ミタル・スティールからの買収の脅威にさらされる新日鐵がテーマだ。社長に密着してどのような対策を進めているのか紹介している。新日鐵の買収防止策としては、一つめが個人株主への働きかけを強めること、二つめがグローバル化、つまり世界市場でミタル・スティールに対抗する体制を整えることだ。提携先を買収されて海外に展開する日本企業への供給に不安が出ているためだ。社長への密着取材をNHKに認めたのも、個人投資家対策だと感じられた。同社は個人株主対策として、アンケートを行ったり、工場見学を企画している。工場、特に大型の製鉄所を見学させるのは効果が大きいという気がした。でかい工場を見せると強烈な印象を株主に与えることができるのではないかと思う。

5月より三角合併が解禁されたが、どの程度外国企業による日本企業への敵対買収が発生するのか、少し疑問に思う。以前にも書いたような気がするが。全額現金で株式を買い取るのであれば成功するかもしれないが、よく分からない外国企業の株式と交換してくれと提案を受けても応じる株主はそれほど多くはないだろう。特に個人投資家の場合には。新日鐵内部での危機感は理解できるが、社内を引き締めるために危機感を煽っているような印象も受ける。敵対買収がすぐにでも行われるかもしれないというのに、社長はどこか淡々としている。腹を決めているのか、それとも買収できないと楽観視しているのか。

ミタル・スティールの快進撃もどこまで続くのかという点も気になる。様々な製鉄所を買収してもそれだけで新たな価値を生み出せるのか。コスト削減以上の効果を得られるのか少し疑問だ。