写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノンEOS-1D Xの意味するところ

 10月18日を過ぎたあたりに、写真仲間のOさんからメールが入ってきました。それによると、キヤノンからフルサイズの「EOS-1D X」が発表されたので、自分の持っているEOS-1Ds MarkIIが大幅に値下がるのではないだろうか、ということでした。そこで返信をしたのですが、むしろ逆であって、改めてEOS-1Ds MarkIIが見直されるのではないだろうかというような内容にしました。それというのも、雑誌やWeb情報を見ていると、ほとんどのメディアが直前の製品であるフルサイズのEOS-1Ds MarkIIIと比較してどうかというのですが、少なくとも画素数だけで見るならばEOS-1D XはEOS-1Ds MarkIIに近いというか、戻ったのではないかということです。画素数と画素ピッチこれはズバリ直接的な関係ですが、このほかにEOS-1D Xは、圧倒的な高感度常用撮影感度域と連写速度の向上あげられます。必要以上な高画素化を行なうより、実質的な連写速度、高感度領域を拡大することは、2009年12月発売のAPS-HフォーマットのEOS-1D MarkIVをもフルサイズに統合してしまうだけのものなのです。
 この関係を表にしてみました。あえて普及機のEOS Kiss X5も加えてありますが、キヤノンとしては画素数というか解像度は2000万画素未満、それも1800万画素程度あれば十分との考えに近年至っていることがわかります。つまりデジタルカメラの高画素競争は、キヤノンでは明らかに終わりを迎えたわけです。それにしても常用感度での最高感度51200というのも、一連のシリーズ機の進歩と比較すると、すごいというのが正直な印象です。さらにAF速度、AE精度の向上をうたっていて、発売は2012年の3月ですが、これは7月に開催されるロンドン・オリンピックをズバリターゲットとしているわけです。早めに発表して報道各社に予算をとってもらおうということなのでしょう。発表のタイミング10月18日は、ニコンがちょうどミラーレス一眼「ニコン1」を発売する20日とかなり接近していました。その結果は、各カメラ専門誌11月号のページの割き方を見ればわかるわけです。過去にこういうタイミングはなかなかありませんでした。まだまだカメラは進歩して、ますます楽しくなりますね。