「サマータイム」読んだよ

サマータイム (新潮文庫)

サマータイム (新潮文庫)

佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。鮮烈なデビュー作。

佐藤多佳子 『サマータイム』 | 新潮社

幼い頃の記憶というのは不思議なもので、とても大事なことはあっさりと忘れているくせにものすごく些細なことは意外にしぶとく覚えていて忘れられずにいたりします。
例えば、幼い頃に隣の長屋みたいなアパートに双子が住んでいてその2人とは毎日行き来してたくらいものすごく仲がよかったのですがその二人の名前が思い出せずにいます。あだ名ではなくちゃんと名前(一個年上だったので君付けで呼んでた)で呼んでいたはずなのですが全然思い出せない。あんなに仲がよかった友達の名前を思い出せないなんて本当に悲しいのですが、一方でこれまた近所に住んでいた同い年の友達が、自宅近くの沼に一緒に遊びに行った時に橋から落ちて泥だらけになってしまい泣きながら帰ったという非常にどうでもいいことは鮮明に覚えています。そもそも何でその沼に遊びに行ったのかとか、落ちる直前にかわした会話の内容も覚えているくらいくっきりはっきり記憶しているのです。
覚えていたいことと覚えていられることは別ものなんですよね...。


さて。本書は一人の少年の中に疑問符付きで記録されていたある出来事を、関係していた3人それぞれの視点から見ることでその全容が明らかになるというおもしろい構成になっています。別に「謎」というほど大層なものではないのですが、ぼんやりと「あれってなんだったんだろうな」という記憶を多角的に見るというのが非常に楽しく感じられました。
わたしの記憶の中に残っている未だに腑に落ちないあれとかこれも、こういうふうに他人の視点を交えて理解できたらいいのになと思ったのでした。


ちなみに本書の著者である佐藤さんの他の著書を実は読んだことがあって、「黄色い目の魚」という本なのですがそちらもとてもお勧めです。夏休みらしい開放感と10代の頃に感じていた(であろう)消化不良な感覚が入り混じったとてもすてきな作品でして、夏休みっぽさを感じるという意味ではこちらの方がよい気がします。


[リンク]
黄色い目の魚の感想

ライバルは山田孝之

前からマコ*1玉木宏が好きだと言っていました。
のだめを見て以来、彼の低く響く声と端正な風貌に惹かれていたようでドラマに出ると聞けばそれをチェックしたりしていました。
わたしも「ただ、君を愛してる」以降、玉木宏が気になっていたので一緒になって玉木ファンクラブを結成して彼の動向を追いかけていました。


そんなある日。
マコと二人で映画を観にいく機会に恵まれたので、ちょうどその日から公開になったMWを観にいってきました。ものすごく悪いおこないに手を染めて、さらに、かなり悪そうに振舞っているにも関わらずどうしても本当に悪い人には見えない玉木宏のやさおとこっぷりにはもう驚きを通り越して感動すら生まれそうになるありさまでして、わたしもマコも大満足でした。


その数日後。
普段は映画を観に行きたいなんていうことがないマコが、もう一度MWを観にいきたいと言い出したのです。滅多にというか、マコがそんなことを言い出したのは結婚後はもちろん付き合っているときから勘定しても初めてでしたので、子どもたちはわたしと公園で虫取りに出かけることにしてその間に映画を観に行ってもらうことにしました。


そして。その日の帰り道。


「あたし、玉木宏よりも山田孝之の方が好きかも知れない...」


不意に開かれたマコの口からこんな言葉が発せられ、あまりの驚きにアクセルとブレーキを踏み間違えそうになりました。


玉木宏じゃなくて山田孝之か...。
玉木宏くらい飛びぬけてかっこよければ、「あー、あいつにはかなわねーよw」とか言えるのですが、山田孝之となるとそこまで譲歩する気にはなれません。
いや、もちろん、山田孝之がかっこいいことは分かるんですよ。俺の方がかっこいいとか1ミクロンも思ってはいませんが、でも一方でだからといって無条件降伏をするほど絶望的な差じゃないと思う気持ちもあるわけです。
見た目を番付表記したとすると、玉木宏を大相撲の横綱とすれば、山田孝之十両くらいじゃないですか。まあわたしは序二段くらいなのでどちらも雲の上の存在には変わりありませんが、でも横綱十両の差は大きいと思うわけです。


何だか何を書きたかったのか忘れそうになりますが、とりあえず今の私のライバルは山田孝之だということをここに宣言しておきたい。

*1:

来週の予定

来週の水曜日からTech・Ed2009へ行ってきます。
今年はWindows7、Windows Server 2008R2といった新しいOSの話や、.NET Framework4.0がメインになりそうです。
個人的にはHyper-V(R2で変わったところ)の話も期待しています。


おもしろそうな話題があれば、期間中か終了後にはちゃんとまとめようと思います。


Tech・Ed2009公式サイト