ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

アンワル氏の日本入国禁止

最近のマレーシアのアンワル・イブラヒム氏の日本入国禁止事件(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20140123)を知ると、その背景が何であったとしても、経済的には顕著な発展を遂げ、マレーシアに関する情報が一段と増えたものの、正確で深い相互理解には程遠い現状を感じます。
マラヤ占領期の日本軍の華人虐殺の民族的な記憶が相対的に根深いことと、昨今の中国の経済的躍進の影響と、安倍政権の動向についての不充分な理解と、世界的なイスラーム主義の動きが重なり合って、反日感情がまたもや輻輳しているようです。
それを思うにつけ、1990年4月から3年間、よくもまあ、あの暑くて不便だったクアラルンプールで、政府系の仕事のためとはいえ過ごせたものだと我ながら感心します。学校を出たてで、世界情勢をよく知らなかったからこその冒険心、それこそ、若さ故の勇気と前進一筋だったように思います。今の私ならば、もし当時の私の年齢に相当する子どもを持っていたとしたら、当時、父が反対したごとく、マレーシアその他へ仕事に行くことに対して、非常に無事を気に懸けながら日々を送っていたのではないかとも思うのです。あの頃は、未知なるものへの冒険心と同時に、自ら危険へは飛び込まないという慎重さの両面があり、日本人グループ内での教育関係の仕事だったからこそ、周囲を説得できたのでした。
そして、あの頃の経験があればこそ、マレーシアも含んだ中東情勢とイスラーム問題とアメリカの外交政策を巡るパイプス訳文に、かれこれほぼ2年ほど(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120123)夢中になれたのだと思っています。
よろず海外での邦人の行動に対して慎重な注意を与えると評判の日本大使館は、上記の事件に関連して、過去にどのような警戒をしていたでしょうか。

http://www.my.emb-japan.go.jp/Japanese/ryoji/hanzai_trouble_info.htm

「その他の注意喚起」


Kuala Lumpur Court Complex付近における爆発事案の発生
発 生年月日:平成24年1月
発生場所:Kuala Lumpur Court Complex付近


高等裁判所アンワル・イブラヒム元副首相の判決公判があり、同支持者が大規模な集会をするクアラルンプールのJalan Duta通り周辺に所在するKuala Lumpur Court Complex付近で3件の爆発事案が発生

「デモ、嫌がらせ事案等について」


発 生年月日:平成22年1月
発生場所:クアラルンプール他

カトリック系週刊誌に対する裁判所の判決を不服とするデモや宗教施設に対する嫌がらせ事案が発生


「宗教関連施設に対する嫌がらせ事案等の発生について」


在留邦人の皆様へ
平成22年1月12日
在マレーシア日本国大使館
領事部


  カトリック系週刊誌が神を意味する言葉として「アラー」の単語としての使用を認める 裁判所の判決(平成21年12月31日)があり、これを不服とする者の抗議デモや集会が、 1月3日、クアラ・ルンプール(Kuala Lumpur)等でありました。

  また、1月8日未明から10日未明にかけて、クアラ・ルンプール(Kuala Lumpur)、 セランゴール(Selangor)、ペラ(Perak)、ペナン(Penang)、サラワク(Sarawak)に所在する 教会、学校等の宗教施設に灯油がまかれて火をつけられたり、いたずら描きをされたりという 被害が10数件、警察当局に報告されております。
  それらの巻き添えによる被害を防止し、身の安全を確保するために、以下のような点に留意してください。


・ デモや抗議集会には、近づかない。
  デモ隊の投擲や、治安当局の鎮圧行動に巻き込まれて怪我をする可能性があります。

  
・ 可能な限り宗教施設には、近寄らない。特に夜間に注意する。
  付近で行動する場合は、トラブルに巻き込まれないよう十分注意する。


© Embassy of Japan in Malaysia
No.11 Persiaran Stonor, Off Jalan Tun Razak,
50450 Kuala Lumpur, Malaysia

アッラー」語彙使用事件について、特に大使館注意と関連するブログ記事は、次をご参照ください(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100111)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100112)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100113)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100118)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100121)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100126)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100127)。

結局のところ、大学や学会などでは、本件について(ほう〜)程度の反応であったとしても、地に足をつけて生きている一般市民にとっては、上記大使館の注意に従うのは、当然の安全対策だろうと思います。そして、いくら経済発展したといっても、このような事件が発生するという社会状況自体が、その国の真意を反映しているとも言えます。