スタンレーさんの追悼記事を書きました

もう12月号が出てしまったが、月刊「秘伝」11月号に記事を書いた。合気ニュースの社長兼編集長だった、スタンレー・プラニン氏の思い出である。

スタンレーさんは、合気道の貴重な写真や映像を発掘して整理し、だれでも見ることができるように版権等の処理をした上で流通ルートに乗せて販売してきた。彼がいなかったら埋もれてしまったであろう資料や映像も、数多くあった。

また、派閥や流派を超えて多くの名人に取材してインタビューを行い、写真を撮影した。さらには派閥の垣根を超えて友好演武会を開催、その模様はさらに映像化されて記録として残されたのである。

「合気ニュース」に掲載されたインタビューは単行本にまとめられ、発売された。私が感心したのは、発行部数の少ないこうした書籍を採算ベースに載せるべく、多くの工夫をされていたことだ。

単行本の場合、高性能のコピー機を導入し、ホチキスで製本するという方法を採用していた。数十〜数百部でも安価に製作できるので、採算の取りにくい武道関係の書籍でも出版が可能になるのである。

合気ニュースも、日英両言語で記事が掲載され、発行部数の問題を解決していた。さらに、版下を香港に送り、現地で印刷・製本を行っていた。それには私も感心した。日本の出版社で、そうした方法を採用しているケースは、その後も聞いたことがない。

その後はパソコンやネットも駆使して、世界中を相手に合気道のニュースを発信していたそうだ。人格もすばらしい上に功績が大きかっただけに、早すぎる逝去が本当に惜しまれる。

月刊 秘伝 2017年 11月号

月刊 秘伝 2017年 11月号