SHIROBAKOのキャラデザ 「まぶた線」のルーツを探ってみる
SHIROBAKOのキャラデザにおいて少し気になった部分があったので、軽く調べてみました。
よくまつげの上に描かれる二重のまぶたではなく、もう一つ上の眼窩?みたいな所を表している感じの線です。
表情の変化で現れる事は昔からよくあると思うのですが、SHIROBAKOにおいてはキャラクターデザインの時点で多くのキャラクターに採用されていて特徴的に見えます。
※どういう名前か判らないので便宜上「まぶた線」と呼びます。
SHIROBAKOのキャラデザってまぶた(?)的な部分が太い線で目立つ様に描かれてるのが特徴的な気がする。他のアニメだとあまり描写自体が無かったり影で表現されてる部分。眠そうな時や疲れてる時の表情が映えるようにかな #musani pic.twitter.com/hMcezagjEm
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
SHIROBAKOの宮森は表情がコロコロと変わるヒロインですが、この「まぶた線」がとても良く効いていると思います。
特に半目っぽい時に、目をそれほど小さくせず可愛さを損ねずに、でもきちんと目が座った感じが表現できているのではないかなと。
あと疲れや眠気みたいな表情を表現する時に、このまぶた線があるととても便利そうです。
寝不足やお疲れな人が続々と出てくるアニメ、SHIROBAKOにおいては特に必要な線なのかもしれません。
この二人のジト目っぽい顔は「まぶた」が凄く効いているのでいいなぁと思う pic.twitter.com/4qtM7lix9y
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
可愛さと半目の同居。いいですね。
一方で、興津さんには「まぶた描写」が無くて、パリッ、キリッとした表情に見える。 pic.twitter.com/RHPgEMHqbX
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
興津さんがクールビューティーであるという事を一目で示すというデザイン的な意味合いの他にも、就業時間をきっちり守る人で睡眠時間や休憩をきちんととっているからというのもあるのかも。
「まぶた線」の使い分けに関してもメリハリをつけて上手く成されていると感じる。
――で、気になったので、SHIROBAKOにおける「まぶた線」のルーツを少し探ってみることにしました。
と言っても、
水島努監督と
アニメーションキャラクターデザイン担当の関口可奈味さんの二人のこれまでをたどってみただけですが……。
(追加でぽんかん⑧さんも調べてみました)
ではまず、アニメーションキャラクターデザインの関口可奈味さん。
ちょっと調べた限りだとPA前作の『グラスリップ』ではそれほど強調されてないし、SHIROBAKOで取り入れられたっぽいデザインかな。あのまぶたは。 pic.twitter.com/OYn7NXLZOP
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
「ふたえまぶた的な部分」の線は結構ハッキリしていてまぶたがあるなという感じは受けます。
しかし今回取り上げている「まぶた線」に関してはSHIROBAKOの様にデザインされてはいない。
『SHIROBAKO』アニメーションキャラデザの関口可奈味さんが同じくアニメーションキャラデザを務めた『TARITARI』も「まぶた感」あるけど、SHIROBAKOの様に表情の表現に使われているわけではないと感じる pic.twitter.com/8FrwKKHGQO
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
グラスリップとそれほど変わらないか、それよりも少し薄い感じでしょうか(?)
関口可奈味さんがTARITARIの前にアニメ―ションキャラデザを担当した『花咲くいろは』では「まぶた」は影で表現されてる。 pic.twitter.com/0Rs5CzyUvI
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
TARITARIよりもさらに薄めに見える。
関口可奈味さんの『花咲くいろは』の前は『CANAAN』やっぱりまぶた線は無い。 pic.twitter.com/MJlQudLxgX
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
※キャラデザの元の絵柄が特徴的なので影響はあるかも
どうやら関口可奈味さんが好んで使う技法というわけでは無さそうです。
で、水島監督
水島監督の前作の『ウィッチクラフトワークス』はちょっとまぶた感がある。 pic.twitter.com/aCdK3HFocM
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
関口可奈味さんの作品群よりまぶたがハッキリ描かれている気がしますね。
「まぶた線」らしきものもあります。
※原作コミックスがあるので、原作絵の影響もあると思います
ガルパンの秋山殿は「まぶた」結構がっつり描いてあるね。 pic.twitter.com/jbr5iu5Yse
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
今回取り上げている「まぶた線」らしき線があります。
いつも眠そうな麻子も「まぶた」が線で描いてある。 pic.twitter.com/LmvaGkX6bK
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
秋山殿もそうですが、「まぶた線」があると半目系が可愛く見えますね。
Anotherまで戻っても「まぶた線」だ。これは水島監督のこだわりなのかもしれない。 pic.twitter.com/19Wy2JeNPY
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
ガルパンと比べると少し薄い感じはするかもしれないです(?)
ブラッドCでは、サヤが殺すモードに入るとまぶた線が入る。今日もいい天気モードでは「まぶた線」が無くなって影になる。 pic.twitter.com/ZHgbQfaFsM
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
※軽く調べた所そう見えただけで本当に切り替えとして使っていたかは不明です
もしかすると、ブラッドC、ホリック継辺りで取り込んだ手法なのかもしれない。CLAMPは少女漫画だけあって「まぶた線」を多様してるし。原作は元の絵があるのでなんともだけど「おお振り」は原作の影響かまぶたの影はあまりない。 pic.twitter.com/3EKO7pO5vu
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
ブラッドCではCLAMPの方が脚本としてメインスタッフに入っているのでその時に…?(憶測です)
ハレグゥは判別不能だったというオチ pic.twitter.com/dwg5sO6bSb
— i-za蔵 (@139RA) 2014, 12月 4
他のキャラも線というほどのものは見えなかったです。
(原作のあるアニメだと制約がありそうですが)
【追記】ぽんかん⑧さんは?
SHIROBAKOキャラクターデザイン原案のぽんかん⑧さんの絵もpixivで少し調べてみました。
ぽんかん⑧さんのpixivアカウント
調べてみたところ、SHIROBAKO絵の直前のイラストには「まぶた線」が無く、
SHIROBAKOのりーちゃんの絵には「まぶた線」が有りました。
ぽんかん⑧さんがpixivにアップしておられる絵という狭い観測範囲での調査ですが、SHIROBAKO以外の絵だとあまり「まぶた線」みたいなものは見られませんでした。
【追記終わり】
――と、興が乗ったので調べてみましたが、所詮Googleで検索して出てくるレベルの調べ物なので全くの的外れだったりするかもしれないです。その点はご注意ください。(興味を持った人がいたら他の監督さんとかの傾向も詳しく調べてボクにこっそり教えて下さい)
【追記】
アニメーターの木村貴宏さん(ルルーシュ・ガオガイガー等でキャラデザを担当)が良く使っておられるそうです。
ということで、SHIROBAKOのキャラデザ時に誰が出したアイデアなのか実際には不明なんですが、
ただ、水島努監督が「まぶた線」を好んで使っている傾向はあるのかなと感じます。
「いわゆる萌えキャラ造形」での表情の幅が結構広がる気がするので、もしかするとこれからアニメ等で流行る事もあるかもしれないですね(ホントか?)
水島監督が手がけるアニメは勿論、他のアニメでもこの「まぶた線」に注目して見ると面白いかもしれません。
【追記】
眼窩の影・まぶた線を増やすと顔に凹凸感が出て、陰影や彫りが深い感じになり喜怒哀楽の表現の選択肢も増えると思います。なので劇画調なキャラデザのアニメだと「まぶた線」が割りと採用されているかもしれないです。
※あとで少し調べてみましたが、『Darker Than Black』 『UN-GO』 『コードギアス反逆のルルーシュ』等が「まぶた線」を多く採用しています。この中でSHIROBAKOと同系統の、「萌えキャラ的造形」寄りで採用しているのはDarker Than Black。
その一方で、影の少なさや一種の平面さが可愛さにつながっている「萌えキャラ的顔造形」と凹凸や影は相性が良くないんじゃないかと思われます。なのであまり「まぶた線」は採用されていない気がする(?)
SHIROBAKOにおける「まぶた線」は萌えキャラ的造形のキャラ顔が崩れない程度に、表情のアクセントを着けるために用いられている線……なのかもしれないですね。