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2013-10-07

不安や怖れを乗り越えて、被災地を伝える  大槌学生インターンの活動報告会を開催しました!

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は9月21日、夏の学生インターンプログラムの報告会を都内で開催しました。
「被災地に行くのが不安」「現地の人とどう接すればいいの?」現地に赴く前、プログラムに参加した計6人の学生からは、口々にそんな言葉が。活動を通じて大槌の人々の温かさに触れた一方、自分の中にあった固定観念や、被災地を取り巻く複雑な現状の中で感じた"ざらざら"した部分―― 彼らが肌で感じたことを共有しながら活動を振り返り、被災地からの情報発信についても議論しました。

■「被災者」というレッテルに気付く
8月19日から5日間参加した柳卓知さん、鵜沢佳南さん、竹田幹さんは、大槌に行く前から感じていた不安は現地に行ってもすぐには拭えなかったといいます。自分たちなりに理解しているつもりでも、震災を実際に体験したことがなく、ちゃんとした知識もないのに震災の話をして失礼にならないか・・・
しかし色んな人と交流するにつれ、「大槌の人たちも1人の人として生きているのに、"被災地・被災者"というくくりで語ることに疑問を感じた」と柳さん。現地の人とどう接すればいいのか分からなかったという3人ですが、「被災者」という見方を超えて「1人のおじいちゃん、おばあちゃん」として話をするようになってから、徐々に大槌の方々と打ち解けるようになったそうです。

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8月5〜9日に参加した小林実央さんは、仮設住宅に住むあるおばあちゃんが、自宅で暮らす友人に「(暮らしぶりや振る舞いが)仮設っぽいね」と言われたことにとてもショックを受けていた、というエピソードを紹介しました。家族や家を亡くし仮設に住む方もいれば、住宅の被害は免れた方もいる。「被災地」と言ってもそこに住む人々の状況は一様ではなく、そこから生まれるわだかまりや、必ずしも「被災地」の人々が同じ思いを共有している訳ではないこともあるのだと、現地に行ったからこそ肌で感じたといいます。

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■大槌に自分の「特派員」ができる
夏のインターンの目標の1つは「大槌に情報発信の種をまく」。報告会後半のディスカッションでは、インターン生が現地で開催した写真教室の活動報告を踏まえ、被災地からの情報発信のあり方についても意見が交わされました。

大槌での活動中、各チームとも夜遅くまで話し合いを行いました。チームによっては「情報発信とは何か」という議論も出ていましたが、写真教室をどうしたらスムーズに進められるかということに焦点がいき、どうすれば撮った写真や情報をもっと発信していけるかという工夫については、課題が残りました。

参加して下さった弁護士ドットコム編集長の亀松太郎さんは「学生が言う『情報発信』という言葉が具体的に何を示すのかが分からなかった」と指摘。学生が開いた写真教室について、「TwitterやFacebookに、現地のおばあちゃんが自分で写真をアップするのは難しい。撮った写真をもらって自分のアカウントでつぶやき、これが情報発信なんですよ!ということを示しても良かったのでは」とアドバイスしました。また、現地の人とメールアドレスを交換して写真や現地の様子を伝えてもらったりすれば「大槌に自分の特派員がいると考えることもできるのでは」と話しました。

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■被災地への漠然とした不安
インターン生は報告会に先立ち、情報発信の一環として活動報告を書いていましたが、JCEJの藤代裕之代表は「報告ブログを読んだとき、感じたことを表現するのを何か怖がっているようなイメージがあった」と言い、「なぜ被災地に行くことが不安なのかを考えることが大切」とインターン生に伝えました。
柳さんは、復興という言葉一つを取っても「進んでいる」「遅れている」など様々な見方をする人がいること、津波で多くの職員が亡くなった旧大槌町役場を残すかどうか両論があることなどを通じて「物事には、必ず反対の感じ方や意見があることを痛感した。(複雑な側面を持つ被災地の現状について)どのように表現すればいいのかすごく悩んだ」と明かしました。

それに対し藤代代表は「こんなことを書いたり、聞いたりしたらとんでもないことが起きるのではないかという恐れがブレーキをかけてしまう。だけど、その怖さや不安を表現するにはそれを超えていかないといけない。怖いと思うことは第一歩だけど、怒られたり泣かれたりしたことが長いスパンで見たとき良かったと思えるのでは」と話しました。
「それを超える勇気と相手へのリスペクトを大事にして、自分の中で消化していってほしい」とインターン生にメッセージを送り、報告会を締めくくりました。

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また、報告会の後は、今年5月に開催したジャーナリストキャンプ福島2013のデスク、参加者に大槌インターンの学生も加わり交流会が開かれました!多くの方にお越しいただき、日付が変わるぎりぎりまで話が盛り上がりました。
今回参加していただきました皆さん、本当にありがとうございました!

(JCEJ学生運営委員・石井 俊行)


<学生インターン2013夏・活動報告はこちらから>

2013-09-12

大槌で触れた優しさ、笑顔、あの日の記憶 学生インターン2013夏・活動報告(6)

夏のインターン活動報告も最終回となりました。第6回は、大妻女子大の鵜沢佳南さんです。はじめは活動への不安もあったそうですが、大槌の人の優しさや笑顔に触れ感じたこと、コミュニケーションを工夫し、試行錯誤しながらやり遂げた写真教室などについて綴ってくれました。

活動した5日間で大槌町の人の優しさに触れた。大槌に行く前は、よそ者は受け入れてもらえるのかと少し不安だったけれど、そんな考えとは裏腹に歓迎してもらい、驚いたし、嬉しかった。町の人は本当に温かかった。
活動期間中は、ご好意で臼澤さんのお宅にお邪魔させてもらった。毎日朝と夜ご飯を用意してもらい、食卓を一緒に囲んでまるで臼澤家の一員になった気分だった。おかずは、煮物やわかめの酢の物、サラダ、シソ肉巻や焼き魚、汁物・・・私が日々の生活で食べている食事量の倍はあった。初めて訪問した私たちを手厚くもてなしてくれて、こんな贅沢な生活をしていていいのだろうか?という気持ちになったくらいだ。

インターンの活動で開いた写真教室でも、町の人の笑顔が印象的だった。「いや、写真なんて」「私には撮れないよ」と遠慮するおばあちゃんたちに、初めはデジカメを手に取ってもらうこと自体が難しかった。でも、おばあちゃんが今興味があるものを会話の中で聞き出し、それを写真に残してもらうようにしてもらった。最後には笑顔になって「写真もいいもんだ」と言ってくれるおばあちゃんもいた。

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別の参加者の方には、会話のきっかけを作ろうと「なにか大切なものの写真を撮りませんか?」と話し掛けると「大切なものは津波で全部流された。大切なものなんてない」という答えが返ってきた。どう言葉をかければいいのか分からずにいると、相手から「盛岡にいる娘が写メールを送ってきてくれるんだ」と話してくれた。お孫さんの祭りの写真から、娘さんが作った凝ったキャラ弁の写真まで沢山あった。見せながら、嬉しそうに説明をしてくれた。
また、あるおばあちゃんは「絆ノート」というものを持っていた。そのノートには、ボランティアで出会った人たちの名前やメッセージが書かれていた。「せっかく遠くから来た人たちがいるのに悲しい顔は見せられない」「家にこもっていても仕方がない」。心のどこかに震災当時の傷がまだ残っているのかもしれないけれど、そんな言葉で笑顔を見せてくれるおばあちゃんだった。

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住民の皆さんはとても仲が良く、私が想像していたよりとても元気な方たちだった。でも同時に、2年以上経った今でも時々見えかくれする震災の記憶にも触れた。原発などのニュースは報道される機会は多いが、岩手県の情報はなかなか届いてこない。今回の写真教室で少しでも町の人に情報発信の種が芽生え、風化を防ぐ手助けになればと思う。
(学生インターン・鵜沢 佳南)


今回のインターンは5日間と短い期間でしたが、全員が悩み、迷いながらも楽しんで活動してくれました。参加した計6人の学生は、9月下旬に予定している活動報告会に向けて準備を進めています!そのほかの活動報告ブログも下記のリンクからご覧いただけます。

<学生インターン2013夏・活動報告ブログ>
強く感じた「震災を伝える思い」学生インターン2013夏・活動報告(1)
思い込みに気づいた「今でしょ!」学生インターン2013夏・活動報告(2)
本当に伝えたいこと、伝えられるのは当事者 学生インターン2013夏・活動報告(3)
「目に見えない復興、伝えたい 学生インターン2013夏・活動報告(4)
震災は「過去」じゃない 学生インターン2013夏・活動報告(5)

2013-09-05

震災は「過去」じゃない 学生インターン2013夏・活動報告(5)

岩手県大槌町で行った夏の学生インターン活動報告第5弾は、関西大学3年の佐々木百合さん。震災当時の状況をもっと知りたい、と自分から積極的に町の方と交流し「ここで見聞きしたことを無駄にせず、絶対に伝えたい」という強い思いで書いてくれました。

大槌町を訪れ一番驚いたのは、自分が想像していた以上に町の再建が進んでいなかったことだ。吉里吉里第3仮設に住む方に、震災当時の話を聞かせてもらう機会があった。震災時には町が混乱しきっていたこと、十分な支援物資を受け取ることができなかったこと。たくさんの人がひしめく避難所では落ち着くことができず、約100日間も車の中で過ごしたそうだ。しばらくして仮設住宅に入居したものの、あの日以来、気持ちが大きく変わってしまったという。「震災が起こった後、仮設に入って布団を敷いて寝たことがないんです。座ったまま寝ているということが多いです」と話してくれた。

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それでも、その方は毎日集会所に行き、人とのコミュニケーションを心がけているという。でも、まるで仕事をするように義務的に笑っている自分がいたり、ストレスで歩いている最中に倒れ、救急車で運ばれたこともあったそうだ。「震災当時と変わったのは、瓦礫が片付いたことと、スーパーが出来たことだけ」。実際に大槌で暮らす方の生の声を聞いて、復興は進んでいないという状況を実感した。
震災から約2年が過ぎ、現地に住んでいない人々にとっては、もう大分前に起きた出来事という認識なのかもしれない。自分も震災は過去の出来事だと思っていた。まだまだ復興への道のりが遠いなんて思ってもみなかった。でも、ここでは震災は過去の事ではなく、今も続いている。

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現実を少し知ることができた今、被災地の「今」をもっと知ってもらいたいという気持ちが強くなった。インターン中は、住民の方の思いを聞かせていただき、私自身も苦しい気持ちになることが多かった。でも、この現実から目を背けてはいけないと強く思う。しっかりと現実を認識した上で、見たこと、感じたことを多くの人に伝え、現地から情報を発信していくことが、私たちにとって一番大切なことだと思うようになった。この経験を活かして、これからも多くの人に伝えていきたい。

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(学生インターン・佐々木 百合)


<そのほかの活動報告はこちらからご覧いただけます!>
強く感じた「震災を伝える思い」学生インターン2013夏・活動報告(1)
思い込みに気付いた「今でしょ!」学生インターン2013夏・活動報告(2)
本当に伝えたいこと、伝えられるのは当事者 学生インターン2013夏・活動報告(3)
「目に見えない復興」、伝えたい 学生インターン2013夏・活動報告(4)

2013-09-03

「目に見えない復興」、伝えたい 学生インターン2013夏・活動報告(4)

夏の学生インターンシップ活動報告第4回は、関西大学3年の竹田幹さんです。自分で大槌町に行ったからこそ、テレビなどの報道では分からなかったことが見え、それを伝えたいという思いが芽生えたそうです。

■変化していない部分は、伝わりにくい
2011年の震災当時、公務員の父が震災支援で派遣されたのが大槌町だった。その時に父が撮影した写真を見て、その土地が今どうなっているかをこの目で見てみたいと思っていた。インターンの初日、早速写真の場所をいくつか見て回った。瓦礫はどこも撤去され、元に戻っているというイメージだったが、津波で何もかもが流されたところはそうではなかった。そこは一面雑草が生い茂り何も手を付けられていないようだった。テレビなどで「復興は進んでいる」と耳にしていた分、想像とは違う現状に驚くばかりだった。メディアは被災地の何か変化したところを報道する。つまり何も変わっていない部分は報道されにくく、メディアを通じてあまり知ることはできない。そのせいで「復興は進んでいる」と錯覚していたのだと思う。

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■「心は泣いているんだよ」
インターン期間中は仮設住宅の集会所で写真教室を行ったが、そこでは色んな方から話を聞くことができた。特に心に残る話をしてくださったのは、参加者の1人で、とても明るく元気なおばあちゃんだった。ジョークを飛ばして、周りにいる人を笑わせたり、率先して写真を撮ったり。写真教室も楽しんでくれているようだった。私は「すごく元気ですね」と声をかけた。するとおばあちゃんは、「いつも元気だよ、けどね・・・心は泣いているんだよ」と答えた。 一瞬、自分の中で時間が止まったように感じた。
おばあちゃんは続けた。「私はいつも元気だよ。ボランティアで来てくれた人の前では特にそう。私たちが前向きにならないと震災でなくなった人に申し訳ないし、せっかく遠いところから来てくれているのに自分が元気じゃないと私たちのために来てくれた人に申し訳ない。いろんな人と話せるから私はいつも元気でいられる。けれどまだまだ震災を忘れることはできなくて心は泣いている」。 言葉が出なかった。とても元気で、そんな風に感じているようには思えなかったからだ。

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写真教室に参加してくれた他の方々も、本当に笑顔の絶えない方たちだった。「目に見える復興」はテレビで触れる機会が多いが、「心の復興」について伝えられる機会はあまりないように感じる。だからこそ直接話を聞いた人が他の人々に伝えなければならない。今回のインターンに参加して、実際に現地に行ってみないとわからないことも多くあること、そしてそれらを伝えることの必要性を今まで以上に感じた。また、写真教室を通じて、徐々に芽生えている現地の方による情報発信がさらに飛躍することを強く願う。
(学生インターン・竹田 幹)


<関連リンク>
強く感じた「震災を伝える思い」 学生インターン2013夏・活動報告(1)
思い込みに気付いた「今でしょ!」 学生インターン2013夏・活動報告(2)
本当に伝えたいこと、伝えられるのは当事者 学生インターン2013夏・活動報告(3)

2013-08-28

本当に伝えたいこと、伝えられるのは当事者 学生インターン2013夏・活動報告(3)

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が8月に行った岩手県大槌町での学生インターンの活動報告第3弾は、法政大学2年の鈴木智宏さんによるレポートです。大槌に降り立った初日、鈴木さんの目には「雑草だらけの空き地」としか映らなかった住宅地跡。現地の方との交流を通して、どう見えるようになったのか。情報発信の意義も、大槌での5日間で再確認することができたそうです。

私が大槌町で写真教室を行うインターンに応募したのは、「震災直後にメディアで報道されていた『被災地』の今を自分の目で見てみたい」という理由からでした。私が初めて夜行バスから大槌に降り立った時は、「本当にここは『被災地』なのか」という印象を持ちました。着いたばかりの初日は「ここにも建物があったんだよ」と雑草が伸びきった場所を指しながら言われても、正直パッとしなかったのを感じました。しかし、実際に大槌の住民の方のご厚意で寝泊まりをさせていただき、話を聞き、自転車で大槌を走り回っているうちに、ここは確かに震災被害を受けた土地の一部なのだと徐々に実感することが出来ました。


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特にきっかけとなったのは、津波で流される前は家があった場所に、行方不明の家族に向けたメッセージが書かれているのを見た時です。自分には雑草が伸びているただの空き地に過ぎなかった場所も、そのメッセージを書いた人にとっては家族と過ごした場所であり、まだ家族の捜索も終わっていないのだと初めて知りました。

今回のインターンで印象に残ったのが、初日の写真教室で「記事に記者の方の願望が入りすぎている。それさえなければいいのだけど」という声が大槌の人々から聞こえた事です。少しその言葉が気になっていた自分は3日目にフリーライターの結城さんの取材に同行した際に「記事を書くときに自分の感情はどうしていますか?」と質問をしました。


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結城さんは「できるだけ感情は入れないようにはしている。けれど、取材をしてそこから切り取って記事を書いている時点で少しは自分の感情が入っているのかもしれない」と話してくれました。なるほど、と思いました。どんなに記者の方が努力をしても、感情は少なからず入ってしまうのだと。同時に、今回のインターンの目標だった『大槌に情報発信の種をまく』ことの意義を自分の中で再確認出来た気がします。本当に伝えたいことは誰かに伝えてもらうのではなく、自分自身で発信しなければ伝わらない場合もある、そんな風に感じました。


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今後ますますメディアでの震災報道は少なくなっていくのかもしれません。その時に被災地の方が自分自身の言葉で情報発信を担っていく事が、震災で起こった出来事を自分達が忘れないためにも重要になっていくと思います。今回、仮設住宅を回り行った写真教室で、情報を記録する楽しさを多くの方に知ってもらうことができました。自分達の小さな活動が大槌での情報発信のきっかけになればと思います。
(学生インターン・鈴木 智宏)


<関連リンク>
強く感じた「震災を伝える思い」 学生インターン2013夏・活動報告(1)
思い込みに気付いた「今でしょ!」 学生インターン2013夏・活動報告(2)

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