使徒信条-3-

六甲教会宗教教育箇条書き
使徒信条 -3-

「主は聖霊によって人となり、乙女マリアから生まれた」

 マタイ福音書とルカ福音書におけるイエスの誕生物語は史的事実でもなければ、子供向けのおとぎばなしでもありません。それは信仰の立場からの創作です。その物語を通してイエスとは誰であるのか、そして神はどのように現れ、どこに見出されるのかということが伝えられます。

 この話しを奇麗ごとにしてしまうと、マリアの妊娠は奇跡的な出来事であるかのように扱われ、イエスの誕生は例外的なことのように描かれてしまいます。しかし、イエスの誕生は例外的であったというよりも、むしろすべての誕生において起こる不思議な謎はイエスの誕生に照らして解き明かされると言ったほうが適切な読み方のように思われます。というのは、どの子でも親から生まれると同時に、聖なる息吹によって生まれると言えるからです。

 マタイ福音書に現れているように、ヨセフはイエスの遺伝の親ではありませんが、マリアの結婚についての歴史的事実まで私たちが遡ることができません。さまざまな伝承が伝えられております。ある伝承によるとマリアは性的虐待の被害者だったのではないかと言われていますが、それは確かめられません。しかし、そうだったとしても、イエスにおいて神が決定的に現れ、イエスこそ我々の間に現れた神ご自身であるという信仰を否定することにはなりません。かえって、どこに神が現れるのかということをますますはっきりと伝えられるようになるのです。

 マリアの妊娠がわかって戸惑っていたヨセフにはみ使いが現れるという場面をマタイが描いたのですが、そのときのみ使いの言葉を次のように置き換えることができましょう。「ヨセフよ、心配するな、この妊娠は神の息吹によって見守られています。つまり、どんな事情によって身ごもったにしても神の息吹によってその誕生が見守られています。