ゲームを裁く資格なんですが...

 サッカー審判の講習会でのこと。その日の講習は少年たちも受講できるとあって、大勢の中高生の間に小学生もちらほら。
 私の隣に座ったのは小学生とおぼしきカワイイ女の子。講習に先立って各自が書類に必要事項を記入する際、スマホを取り出してママと通話している様子。
 「あのさ、ヒの下にお弁当のベンみたいな字なんだけど、なんて読むの...」
 多分、聞かれたママも、その説明ではわからないらしく、調べるために一度、携帯を切ることになった様子。そこでおせっかいオジサン登場(笑)。
 「何がわらないの?教えてあげるよ」
 「アッすみません。これ、何て読むんですか?」
 「フムフム、それはね『ショウキュウ』(昇級)って読むの。あなたは今日4級を受けにきたんだよね。この先、3級、2級、1級と、より難しい審判の資格を取るつもりはありますかっていうことだよ」
 「はい、ありがとうございました」
 ヒの下にお弁当のベンみたいな字か...確かに(笑)。カワイイな~。でも...「昇級」が読めないような子が審判資格取っていいのかな~(笑)。
 斜め後ろに座った男の子は、多分、自分もコーチをやっているであろうパパが、少し離れた所から何かにつけて指示をだしています。「昇級」の希望について回答しなければならない書類に関しては『オイ、それには名前だけ書いておけばいいぞ!!」。難しいことは後でパパが書いてやるってことですね(笑)。
 少年時代から審判に関心を持つこと、なるべく多くの審判員を育てること。、そのこと自体は悪いことではありません。しかし...こうした実態を見てしまうと...。粗製乱造と非難されても仕方がないのでは...。
 

ねぇ小学生、空気を読んでよ???

 サッカー審判講習会で見た面白い???場面をもう一つ、紹介しましょう。
 私の前に座ったのは小学生の男の子。狭い席の上にリュックやら何やら持ち物をたくさんのせて、自分は座面に向かって(本来とは反対向きの体制で)しゃがんで片付けをしています。
 その隣に高校生とおぼしくき参加者がやってきました。座ろうと思うのですが、隣の席で後ろ向きになって片付けをしている小学生が少し自分の席の側にはみ出していて、すんなり座れません。困ったな、という表情で立ち止まります。
 当然「ちょっとゴメンネ」と声をかけるものと思って見ていると、彼はしばらく様子をみたまま、そっと手を伸ばして荷物を自分の席に置こうとします。そう、とりあえず場所だけとっておきますよ、というときによくやる方法です。
 それで一旦、その場を立ち去り、小学生の片付けが終わった頃を見計らって席に戻って来るのかと思いきや、そうではなく、その場で荷物を置いたり持ったりして、小学生の様子を見ています。置く、持つ、置く、持つ、を2~3回繰り返していると、さすがに夢中で片付けをしていた小学生が、自分の隣に誰かが立っていることに気づき、さっと体を本来の位置に寄せます。こうして、高校生は無事、自分の席につけました(笑)。
 なんじゃーこれ。
 オマエ、口ついとらんのか???
 「ちょっとゴメンネ」とか「すみません」くらいコドモに向かって言えんのか!!!
 ...と叫びたくなる気持ちを抑えて(笑)一部始終を見終えたのでした。前々回に書いたコミュニケーション力不足にまたもや遭遇。あの高校生、審判やれるんでしょうか? 試合前「はい、両チーム、整列!!」って言えるんでしょうか? 確実なのは、小学生に「すみません」って言えない度胸でイエローやレッドは出せないということです。