EGF受容体の分解にはNedd4-1とACKのユビキチン化が必要

上皮増殖因子(EGF)の受容体(EGFR)はがんの増殖のコントロールに関係している場合があり、EGFR阻害薬のゲフィチニブは非小細胞性肺がんの治療に用いられることがある。EGFRの量を減らす方法があればがんの治療に使える可能性がある。
EGFRはリガンドのEGFの結合やユビキチン化により分解される。ACK(activated Cdc42-associated tyrosine kinase、別名Tnk2)はユビキチン結合タンパクだが、E3ユビキチンリガーゼのNedd4-1によりユビキチン化される。ACKはNedd4-1のWWドメインに結合し、WW結合モチーフのPPXY配列を持っている。N末端のSAMドメインを除くとユビキチン化が減少し、Ubaドメインを除くとユビキチン化が亢進する。ACKの分解はプロテアソームよりリソソームによっているらしい。Nedd4-1で修飾されない変異ACKを発現させるとEGFRの分解が阻害される。
Lin Q, Wang J et al. Induced degradation of EGF receptor and ACK J Clin Invest 2010;30:1541-1554