世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス(ミカエル・ニエミ/岩本正恵・訳/新潮クレスト・ブックス)★★★★☆

世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス
原題はちょっと違うみたいなんだけど、この邦題いいですね。


スウェーデンの最果て、笑っちゃうほど田舎の村で、少年マッティと無口な友人・ニイラは、初めて聴くビートルズのレコードに心を撃ち抜かれる。「男らしさ」が重視される村の中で馬鹿にされても、二人はヘタクソなロックを奏でることをやめなかった……。果てない未来とシビアな現実の間で揺れながら成長する、二人の少年の物語。


とーってもいい小説!
ただ単にロックに恋した男の子たちってだけじゃない。現実と戦う男の子たちの物語だ。そしてそれは時代や環境に関わらず、誰もが通り抜けて来た物語。世界は自分が知らないことばかりで、「変わり映えのない日常」なんてなかった、そんな時代が自分にもあったことを思い出す。
小さくも印象的なエピソードの積み重なったこの物語の息遣いに、すっかり取り込まれてしまった気分です。


ちなみにこの小説、本国では75万部突破、単純に人口比で換算すると、日本でいえば一千万部ということらしいです。うん、これなら「我が国のベストセラーです」って胸を張れるなぁ。日本のベストセラーはセカチュー……?