愚者のエンドロール (角川文庫)(米澤穂信)★★★★
- 作者: 米澤穂信,高野音彦,清水厚
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2002/07/31
- メディア: 文庫
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「わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス制作の自主映画を観て干反田えるがつぶやいた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか? その方法は? だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる干反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した! さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作!!
面白かったです。<女帝>の真の狙いは最初からわかってたけど、途中の推理合戦も楽しいし、何よりキャラクターがいいよね。本格ミステリの基本をふまえた、腹に一物ありそうなキャラが多くて。ストーリーもしっかりした本格ミステリだし、なのに独特でさわやかな世界観で、ぐいぐいと一気読みしちゃいました。
シリーズの残りの作品を読むのが楽しみになった。シリーズ以外の作品も読みたいな。
陰日向に咲く(劇団ひとり)★★★
- 作者: 劇団ひとり
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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落ちこぼれたちの哀しいまでの純真を、
愛と笑いで包み込んだ集玉の連作小説
なるほど。
この作品の面白さは、その構成の上手さによるものだろう。そこはやっぱひとり舞台をこなす芸人としての力だと思う。連作短編集という形式を最大限に利用したうえで、きっちりオチを入れてくる。小説のおける枠組みという部分に関しては、プロの作家にも負けないくらい。
一方でその枠組みの中に入るエピソードに関しては、非常にベタ。だけど素人臭さを感じさせないくらいには文章が上手いので、全体としてもデビュー作とは思えないくらい安定しているように見えるのだと思う。
もうちょっとエピソードにひねりやカタルシスが出すことができれば、もっと面白い作品を書ける人じゃないかと思う。もしくはとんでもなく弾けたストーリーにするとかね。
今後に期待です。