H (エイチ) 2006年 11月号 [雑誌]

H (エイチ) 2006年 11月号 [雑誌]

H (エイチ) 2006年 11月号 [雑誌]

ていうかスゲー。はまぞうで検索してみて驚いたけど、こんなとこまでジャニさんの影響力が……。
「都合により表紙掲載は割愛させていただきます」と、岡田准一櫻井翔の上にボーダーかぶってます。軽くうっとおしいので、スキャンして高解像度でアップしてやろかしらんなんて思いましたが、めんどいのでやめときます。


というわけで『木更津キャッツアイ』特集です。
主演5人はもちろん、その他のキャストやスタッフのあっついインタビューが載ってますので、ファンは買うべし。読み応えありました。「このキャスト、このスタッフだからこそできた」という自負が感じられます。イチ視聴者であるわたしもそう思います。とくにキャッツのメンバー5人は替えがきかないなぁと。TVシリーズのころは桜井くんどうなんだとちと思ってましたが、ほぼ彼が主演であるといっても過言でない「ワールドシリーズ」を観た今となってはゴメンナサイというかんじです。5人が5人ともハマリ役だった、奇跡のような作品だったと思います。ビバ木更津キャッツアイですよ。

愛がなくても喰ってゆけます。(よしながふみ)

愛がなくても喰ってゆけます。

愛がなくても喰ってゆけます。

う〜ん。前にもこんなことあったけど、はまぞうでは書影が出るのに、なんでリンクしたら出ないんだ? アマゾンにも出てるのになぁ。


まさておき、よしながふみの「食」メインのエッセイ漫画でございます。『フラワー・オブ・ライフ』を読んだ時に思ったんだけど、何かこの作者「食」へのみなぎる熱意が漫画にまで現れちゃってる……!! というわけでむしろ本業?な「食」テーマな漫画で、その熱意を堪能させていただきました。
ていうかおなか減りますわー。この漫画の主人公である「Yなが」が紹介する店と料理がすべて美味しそうで美味しそうで……。ちょっと悔しいのは、作者のテリトリーなんだろうけど紹介されてるお店のほとんどは中央線沿線新宿より西側なので、実際には行けなさそうだということかしら。頑張って新宿だからなー。でもどうしてもどうしてもベトナム料理だけは食べたくなったので、近くでおいしいベトナム料理屋がないか検索してしまいました。この週末にでも行くつもりです。
とまぁ、美味しい食事とそれに感嘆する「Yなが」ご一行様の様子だけでも食欲が喚起されて大満足なのですが、微妙な人間関係などもしっかり描かれていて読み応えあります。とりあえず美味しいもの好きな人は読んで損ナシな一冊です!

実録・外道の条件 (角川文庫)(町田康)★★★★☆

実録・外道の条件 (角川文庫)

実録・外道の条件 (角川文庫)

町田康そろそろコンプリートしたいと、過去の作品を徐々に読み進めております。
コレ面白かったですね〜。ぐふぐふ笑いながら読んじゃいました。


今作は「イヤな奴と関わってしまった仕事」を共通項とする短編集であります。そのままではないでしょうが、著者の経験が生かされた作品であることは、想像に難くありません(笑)。


段取りが最悪なうえに、予想の範疇を越えるとんでもない恰好をさせられる写真撮影『ファッションの引導鐘』。でかいことばかりやたら吹聴する人、地味にコツコツがモットーでそれ以外許さぬと行った風情の人、そんな両極端なプロダクションに関わってしまった日々『ロックの泥水』。とかく自分の都合のいいように解釈して反論されるとぶちぎれる編集者『地獄のボランティア』。「ニューヨークで芸術の息吹を感じて小説にしなさい」という不明な申し出によりニューヨーク取材に無理矢理行かされたうえにこれまた段取サイアクという『紐育外道の小島』。


まぁこれらの小説のモデルとなる事件があったとして、それに関わった人たちにも言い分はあるかもしれないが、町田康にこんな小説を書かせるきっかけをつくってくれたというだけで、もうそれだけでグッジョブである。電車の中でどれだけ笑いをかみ殺したか。やっぱ最高だわ、町田康


一番好きだったのは『紐育外道の小島』。わたしはこの人の旅行記みたいなのが好きなので。『東京飄然』のような自発的な旅行記も面白かったが、この『紐育外道の小島』は旅行記としての面白さに加え理不尽さへの怒りがぐるぐるうずまいていて、キレがありますよ。わたしも基本せっかちなんで怒りも共有しちゃうし、だけど笑わされてしまった。


あと『地獄へのボランティア』も良かった。わたしも自身が信じる価値観を他人に押し付けてくる人は嫌いだし。てか、大体の人嫌いだろうけど。絶対的正義っぽい言葉をカサにきて反論を許さないのは、他者にとっては迷惑な存在でしかない。この短編では、「ボランティアによって運営している」という雑誌からの取材依頼があり、ファックスによってやりとりをするのだが、どうも話が噛み合ない。ギャラや具体的な取材内容について質問しても、それに対する返答がない。ちょっと引用。

なにゆえかくも話が通じないのであろうか。と考えた私は、最初から漠然と感じていた、先方の、ある特殊なニュアンス、すなわち、丁寧な文面であるにもかかわらず、その文面のなかにときおり顔をのぞかせる強い調子、たとえるならば、新宗教の集団、或いは役所、或いは大学、或いは企業などにときにみることのできる、自らの属する集団の内的なルールに対してまるで疑いのない、「と、させていただきます」「となっております」「ご協力をいただいております」「ご理解をいただいて」というもの言いに似た、攻撃的な排他性のごときを、ファクシミリの後半に改めて強く感じ、その根拠として彼らが標榜しているボランティアという概念について、普段そんなことについてまるで考えたことのなかった私が、この困惑を契機に深く考えるようになってしまったというのは、いったいいかなる因果・因縁であろうか、と、いまとなってはつくづく思うが、その時点ではそんなことはまるで考えてない、ただただ、ファクシミリを握りしめ、何故、私が彼らのコンセプト・運営内容を理解し、さらにご協力をせんければならぬのか、ということについてただただ考えているばかりであったのである。

はー、たった2文だけど長かった。でもやっぱ自分の考えを理解しない人がいるというところに想像が及ばない人は怖いよ。人によって考え方、受入れ方は千差万別だと当たり前のことを受入れられない人がいるんですよね。


というわけで、仕事関係で理不尽な人と付き合わざるを得ない経験のある人、もしくは真っ最中の人あたりは共感してともに怒りながら楽しめそうだし、そんな人とは無関係な幸せな人も「えーこんな人本当にいるのー?」なんて(いやいるんですよ!)ぐふぐふ笑いながら楽しめる作品だと思う。オススメです!