教えて:兵庫県の少子化対策

 via http://d.hatena.ne.jp/mika_kobayashi/20060220

産めよ増やせよ”大作戦 兵庫、5年で25万人
 深刻化する少子化問題に対し、兵庫県は「5年間で25万人」の赤ちゃんを産んでもらおうという“産めよ増やせよ”作戦に着手する。20日発表した2006年度当初予算案に約618億円を盛り込んだ。厚生労働省は「都道府県で数値目標を打ち出した例は聞いた事がない」と話している。
 兵庫県は04年に県内の出生数が初めて5万人を割り込み、女性が生涯に産む子供の平均数(合計特殊出生率)が、全国平均の1・29を下回る1・24を記録。このため05年に少子局を設け、本格的な対策の検討を始めた。

 これは共同通信配信記事。exiteではこのページなわけですが。
 びっくらこいてほかの記事を検索してみましたよ。そしたら神戸新聞ではこんな記事になってました。(作戦内容はここ↓に書いてあるよ>chikiさん

出会いの場づくりから妊婦健診助成、再就職支援も
 少子化に歯止めをかけようと、兵庫県は二〇〇六年度、男女の「出会いの場」づくりから妊婦健診への助成、出産・育児後の再就職支援まで、子どもを産み育てる各段階に応じてサポートする。県は、第二次ベビーブーム世代が出産適齢期を迎える今後五年間が、少子対策の「勝負の期間」と設定。目指すはずばり年間五万人の出生数だ。
 県内の年間出生数は〇四年、四万九千七百八十九人と初めて五万人を切り、ピーク時からほぼ半減。若い世代のライフスタイルが多様化する中、出生数の増加に向け、県は新年度当初予算案に総額約二十二億三千万円の新規施策を盛り込んだ。
 晩婚・未婚化対策として、男女の出会いを支援する「ひょうご出会いサポートセンター」(仮称)を開設し、企業や自治体に会員登録してもらう。協賛するホテル、結婚式場などが企画した「出会いの場」を会員に紹介し、会員は社員らに参加を案内する仕組み。個人での会員登録はできない。「県が仲介するので、安心して参加してもらえるのでは」と県少子局。
 男女がゴールインし、妊娠すれば、妊婦健診に助成する。感染症妊娠中毒症などの検査を集中的に受ける後期健診の費用を一万五千円まで助成。年収八百六十万円未満の世帯が対象で、妊婦のほぼ九割が含まれる。約五億三千万円を見込み、市町には、前期健診への助成を促したいという。
 出産や子育てを機に退職した女性には再就職を支援する。こうした女性を職場体験で受け入れた企業に、一人月額十万円の奨励金を最長三カ月間支給する。百人分の三千万円を計上した。
 県少子局は「専業主婦が孤立しないよう、三世代が同居できる住宅の取得支援なども検討したい」と、あらゆる角度から少子化に歯止めをかける方策を打ち出す考えだ。(石崎勝伸)

 専業主婦の孤立を防ぐ対策って三世代同居でいいのっていう突っ込みは置いておいて、ここには“産めよ増やせよ”とか書いてません。あれれ?と思って兵庫県庁のページとか見たんだけど、この言葉って出てないみたいなのね。(見落としたのかも知れませんが。)
 じゃあ一体誰が口にしたのか、“産めよ増やせよ”作戦とか。共同通信がそう書いただけ?*1
 ご存じだったら教えてください>どなたか


まあ数値目標で5万人というのもどうかと思うけど、これはモニタリング指標だと思うし。

ついでにいうと、618億円とか大きい数字の方をとりあげてはやすのもどうかと思う。

■記事追加

 「ひょうご出会いサポート事業」で、独身社員を抱える企業、自治体など会員団体を募り、登録。ホテルやレストランなど協賛団体が企画・運営する職場交流会で、気の合った相手を探してもらうシステム。登録事務や紹介業務をするサポートセンター設置費として、約400万円を当初予算案に計上した。(以上抜粋)

■とりあえずのまとめ

 まあはっきりいってどうでもいいっちゃどうでもいいんですが、自治体がこの言葉を「標語」として使うようになるとやっぱりまずいだろうなと。通信社がつけただけなら、その通信社の責任というだけですが。
 ということで、共同通信さんの表現ということなら、これはもうあとは兵庫県の計画の中身をきちんと吟味するべき、ということになるでしょうね。県公認の「出会い」の場ってのもなあ……。しかもどこかに「所属」していないとだめみたいだし。(これ、女性も男性っもってことですよね。)
 念のため書き添えますが、別にメディアがこの言葉使っちゃいけないと考えているわけではありません。ただ、今回のように煽動的に見出しに使ったり、内容の提示もなしに濫用するべきではないと思います。そう表現するべき時は、きちんと説得的に使っていただきたいですね。

■と書いたのですが

 読み返したら、そもそもなんでこんなふうに報道を追っかけたのかの説明がなかった。orz
 最初小林さんが「おぞましい。次は竹槍訓練か。」と書いていらっしゃるのを見てびっくりしたわけですが、地方紙に配信されてる共同通信の記事を見ると、「産めよ増やせよ」という言葉と618億円という金額と「5年で25万人」という数値目標が並んでいるだけで、具体的に何をするのか、がさっぱりわからないわけです。とすると、ここはびっくりするところじゃないなと。
 で、実際の施策を列挙してくれている神戸新聞記事を見ると、行政お手盛りの出会い系とか、これは書いたけど三世代同居って解決になるのとか、ツッコミどころはあったわけですが、その他の点は意外に変わりばえしない。618億円といっても、これまでの施策も含めた合計だから、新規事業にそれだけ使うわけではなさそう。(神戸新聞には書いてありませんでしたが、サポートセンターにはとりあえず400万円と毎日の記事には出ていますね。)
 あと、厚生労働省都道府県での数値目標設定は異例、とかコメントしてますが、その数値目標は年間でプラス200人程度ですから、控えめといってもいいかも。(ただ減少がどういうペースで進んできているのによっては大胆な目標にもなりますが。)
 そんなこんなを考えると、あまり共同通信のうわべだけの報道にふりまわされるのはやめたほうがいいな、と思いました。もちろん「産めよ増やせよ」という言葉がイヤという感覚は理解できますし、それをイヤといっちゃいかんということではなく、イヤなのはイヤとしても、中身をきちんと見た上で施策については判断をしたいというふうに思って、エントリを起こしたわけです。誰がこんなスローガンを口にしたのか*2ということを含めて。(2/25追記)

*1:もともとは「産めよ殖やせよ」だったような気がしますが。

*2:どうも共同通信の記者さんが書いたらしいです。麻美さん、調べていただいてありがとうございました。