そう単純ではない考


印象派の画家たちは光を描けないからこそ深い闇を描いた。


前を見る。上を向く。光の方向をみる。
表現の仕方は色々あれど、その類の力こそが復興に必要な唯一にしてすべての力であると思っていい。
歯を食いしばって精一杯立ち上がろうとする時に、それ以外の何を念じても邪念にしかならない。

きっとそう思っていいのだけれど、一方で、そこまで重心を傾けてしまう空気が拡がりつつあることに、一抹の不安を覚える。


今回のこの難局が、浮き彫りにしたモノ。
一国の宰相たる者のもつ矮小な器、利権という名のロープで有機的に絡み合う社会構造、自分の懐と社会的リスクを両天秤にかけて考えてしまえる程度の企業倫理の蔓延。

今、声高に訴えるのは時期尚早。僕だって今そんなことを持ち出す奴がいれば水をぶっかけてご退場を願う。

ただ、これを絶望のうちに見せつけられた事実を絶対に忘れてはいけない。
それらは実は僕たちの中にある。
僕たちの中にあるものが集約されて拡大照射されているだけだということに気づく時が遠からず来る。


今はできるだけ深く心に傷をつけなくちゃいけない。
簡単に癒える傷であってはなにも変えられない。
今回不幸にも命を落とされてしまった方々があまりにも浮かばれない。


すべてはこの天災と人災がない交ぜになった現実を風化させない為に。


最後に、僕はあまり食指を動かされないツイッターから引用。

M9.0 世界最大級となったのか。
じゃ、今後復興のためのエネルギーも愛も、
世界最大級にしなくちゃ 

本来であればこの姿勢がすべてなのだと、本当は単純な話なのだと、思う。