紫陽花

8月に紫陽花が咲くなんて、ここに来るまで知らなかった。

弱めの暑さがやってきて、それでさえも受け止められないくらい。



朝顔なんて、まだ蔓を伸ばし始めたばかり。

風船かずらも地面から顔を出したばかり。

早くしないと秋になるよ。



そして、凍てつく冬がやってくる。

北の大地は、秋なんてあるかないかくらいに通り過ぎていく。

快速電車が止まらない駅みたいに。



今年の夏。

やり場のない気持ちを隠すために、ひとつふたつ歌を歌い、

リストのタランテラを弾く。





小麦の穂が揺れて、夏の折り返しに向かう。




過去のこと、ゆっくり流れて行ってもいいけれど、

そう思えば思うほど、その場に留まり、キラキラしてる。






ゆらゆら揺れて。


体をあずけよう。









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