関東一のクラブはどちらか@関東連盟クラブ選手権

決勝
全足利クラブ 11 - 10 茨城ゴールデンゴールズ
10/13 さいたま市営浦和球場 観衆約100人(目測)

準決勝2試合目が終わってから決勝までの間もやはり短く、25分間だけ。ふだんは直前の試合に出てたほうはノックは無しで、もう片方のチームのみがシートノックを行うことが多いと思ったが、このときはGGもベンチ前で軽くノックをしただけ。グラウンド整備をしてからすぐ試合といった感じ。
ちなみにベンチ前のノックは片岡安祐美監督自らノックをしてた。ノックも彼女がするんだな。速い打球を打つためか、音が金属バットだったように思う。
前の試合を見ていて気が付いたのだが、全足利はエースの庭月野がベンチにいない。前日は投げてたはずなのだが、理由はわからないが来ていないようだった。決勝の先発は左腕の黒沼克誠(明大)。
1回表に全足利はヒット2本で先制するが、その裏、黒沼が乱調気味で2つの四球からヒットですぐ追いつかれる。球が高めに浮きがちでコントロールも苦しいところを突かれ、ヒットで逆転、さらには芝田直弥(中央学院大)に3ランを打たれ一気に5点を先行される。GGといえば乗せると恐いというイメージがあったのだが、今でも生きていた。全足利が初回に大量点を取られるなんて、企業チーム以外じゃ初めて見た。

GGの先発は東洋大牛久高から今年入ったという小川和志というピッチャーで、茨城県予選では3連投したと聞く。小柄ながらサイドスローから切れのある球を投げる。コントロールもそんなに悪くないし、高卒1年目ながら主戦を任されているのもわかる。GGの投手というと県外から来た選手が主戦を務めることが多かったので、待望の地元出身の選手という感じだ。
3回表に全足利は内野ゴロの間に1点を返し5-2、黒沼もやっとリズムが出てきたかなと思ってたら4回に再びつかまる。2死ながらセカンドにランナーを置きトップの太田英憲(東北福祉大)がセンター右に弾き返し6点目、さらにベテランになった岩田紀彦(東京経済大)が左へ7点目となるタイムリーを放つ。ここで足利は投手交代で戸崎和磨(白鴎大足利)にリレーする。エース不在が痛い。今度こそGGが勝つか。

なかなか試合の流れが変わらなかったが、6回に動く。ヒット2本と盗塁で攻勢をしかけた全足利は、吉田真史のレフト前ポテンヒットで3点目を挙げ、吉田は盗塁失敗で1死とられるものの、内野安打でさらに1点。ちょっと小川の球にキレがなくなってきたかとらえられ始めた。だが7-4でまだ3点差。
7番・篠崎直樹(明治大)に粘られた末やっとセカンドゴロにとった・・と思ったらセカンドがなんと見事にトンネル!一気に2者生還し7-6になってしまった。一気に試合がわからなくなった。このエラーは本当に大きい。
GGの応援団は1塁側に場所を移し、3塁側が人があまりおらずさびしいなと思ってたら、ネット裏の屋根下で大声援。屋根下の観客はほとんど足利の応援だった。なんか、決勝戦になって人がいつのまに増えていたような気がする。
そして、終盤になるにつれ、僕は太陽の傾きが気になってきた。この浦和球場は照明がない。もう10月の中旬で、陽が落ちるのはあっという間だ。間に合うのかな・・
GGの安祐美監督は、小川を7回、8回も続投させる。ちょっと待った、彼は前日も7イニングを投げている。あゆみちゃんちょっと引っ張りすぎじゃない?・・と思ったら、2死から連打され、とうとう7-7の同点になった。ここで小川はライトの岩田と交代。よく投げたが、やっぱり2試合連続はきつかった。

暗くなってきた浦和球場の8回から、ほとんど気持ちの勝負になってきた。
GGは2死から連打、粘り強く投げてきた戸崎から札貴博(関東学園大)がレフトへ待望のタイムリーで1点先行。最終回へ。
その9回表、全足利はバントヒットから始まり内野ゴロでなんとか三塁へ進め、吉原啓太(日大国際関係)が三遊間へ流し8-8!9回裏は、さっきの試合で9回完投したばかりの甲斐を登板させる。なんちゅう総力戦や・・・
この日、試合間のシートノックが短かったり、朝の開始時間が早まった理由がわかった。そうしないと、日没に間に合わない。9回で勝負がつかず、タイブレークへ。
10回表、全足利は2死からタイムリー2本で3点。
その裏、GGは押し出し四球で1点挙げ、続く岩田のタイムリーで二人ホームインするも、セカンドランナーは憤死。キャッチャーに体当たりしてしまい揉めかけるも、全足利はとにかくホームは守った。最後の打者は、ファーストライナー。総力戦は、日没終了寸前で終わった。

関東にはクラブチームが78あって、そのうち各県の代表8つが揃った大会だったが、決勝に残った2チームは練習環境・チームへのサポートという面では関東の中でも抜きん出た存在だったので、結果的には順当だったと言えなくもない。
計6回の大会のうち、この2チームで4勝を占めているので、他チームにとっては今後もマークする存在に変わりなさそうだ。
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サポートといえば、印象に残った光景がひとつ。
スタンドを歩いてて、GGの黄色いキャップをかぶったお年寄りがひとり座っていた。鼻から管を通し、わきには酸素ボンベ。
僕は身近にこういう人がいたことがあるのでわかる。肺が悪いため常に移動に必要なのだ。いくらバスで来ているとはいえ、これを持って移動するのはかなり大変だ。それでも応援のためにやってくる。僕は正直に感動した。
スポーツの地域密着というとJリーグのサポーターに代表されるように、若い人がスタンドで何千何万と応援する光景が思い出されるが、それがすべてではなく、こういったところにも地域密着が見て取れる。もしGGが存在しなかったら、しんどい思いをしてでも見にいきたい楽しみもひとつ無かったことになる。