きれいな人はもっと美しく、そうでない人も綺麗にする方法


まぶしさで細めた目をパッチリさせる と書くと超〜インチキ臭く聞こえますが、GIMPを使うとある程度それも可能になりそうです。

 逆光時の人物撮影での失敗の多くは露出に関するものですが、順光時の失敗はちょっと事情が違います。撮影される人に直接強い光があたるために、肌のデコボコ、つまりシワや吹き出物が目立ったり、まぶしくて目を細めて険しい顔つきになってしまいます。プロのモデルではないのですから仕方ありません。順光時の失敗写真…とはいかないまでも、ちょっと惜しい写真はGIMPを使って修整しましょう。これは娘の卒業式での写真です。左が修正前、右が修整後となります。(メガネは合成です)

 建物の前で記念撮影するとき、その多くは南向きに建っている場合が多いですから、必然的に順光での撮影が多くなります。神社仏閣や史跡名所とされる場所、観光名所にとどまらずそれらの多くは南向きです。そして私たちは、順光のほうが写真がきれいに撮れると思い込んで、まぶしい光の下に家族や友人たちを立たせて撮影してしまいます。

 とても良く晴れた日は、気分も爽快だし、観光や各種行事にはうってつけの日ではあるのですが、きれいな人物写真を撮るには不向きな天候だともいえます。そんな日に撮った写真をブログやホームページ、年賀状や暑中見舞いに載せるとき、ちょっとだけGIMPで一工夫すればあなたの写真の評価がグーンと上がる…かもしれません。

細い目、小さい目を大きく修正する

 いつものようにレイヤーを複製します。私は何か新しく作業をするときはレイヤーを複製するクセがついていて、結果的にはしなくてもいいところでも複製している場合がありますので、そのへんお察しくださいませ。

目を切り抜いて新規レイヤーに貼る

 普段でも大きくない目が、太陽のまぶしさで細く小さくなってしまっています。まずこの目を少し大きく修整します。目の周りを切り抜くには投げ縄マークの[自由選択]ツール(手書きで領域選択)をクリックします。オプションメニューでは、周囲とのなじみを考慮して[境界をぼかす]にチェックを入れ、[半径]に適宜数値をセットします。今回は画像が小さい(530×706px)ので、およそ5に設定しました。画像の大きさによって数値を変えて設定してください。そして、目の周りをぐるりとドラッグして領域選択します。

 目の領域選択ができたら、目を貼り付けるレイヤーを新規作成します。このとき「レイヤー塗りつぶし方法」は[透明部分]を選択してください。

 [編集]タブのメニューから[コピー]をクリックします。

 [レイヤー]ウィンドウで先ほど新規作成したレイヤーを選択して、[編集]タブのメニューで[貼り付け]をクリックして、新規レイヤーにコピーした目の部分を貼り付けます。

 貼り付けたとき、レイヤーウィンドウは右図のようになります。

 [フローティング選択領域]で右クリックして表示されるメニューから、[レイヤーを固定]をクリックします。

 右側の目も同じように領域選択して、左側の目を貼り付けたレイヤーに貼ってください。背景のレイヤーを非表示にするとこんな感じになります。
『自分は不器用だし面倒くさそう』という方は両目部分をざっくり切り抜いて、レイヤーに貼ってから消しゴムで周りの余計な部分を消すという方法でも良いでしょう。とくに画像サイズが小さい場合は、かえってこちらの方法がお勧めです。

両目を同時に選択して大きくする

 目を大きくする作業をします。[矩形選択]ツール(矩形領域を選択する)をクリックして目の部分をドラッグして領域選択します。わかりづらいときは、[背景]と[背景コピー]のレイヤーを非表示にして領域選択すると選択もれがありません。また、形状が入り組んでいる場合は、[自由選択]ツールや他の領域選択ツールを使ってください。領域選択できたら、[拡大縮小]ツール(レイヤーや選択領域を拡大・縮小させる)をクリックします。

 領域選択された部分をクリックすると、「拡大・縮小」ウィンドウが表示されます。選択領域にの四隅にも四角のマークが現れて拡大や縮小が可能であることを示してくれます。このとき画面のどこをドラッグしても左右上下の方向に拡大できます。目的はまぶしくて細目になってしまった目を大きくすることですから、縦方向に拡大します。操作の苦手な方は、「拡大・縮小」ウィンドウの[現在の高さ]に数値を入力して[拡大縮小]ボタンをクリックしてください。単位は%(パーセント)も選択できます。ドラッグして拡大した場合も大きさが決定したら「拡大・縮小」ウィンドウの[拡大縮小]ボタンをクリックします。

 拡大すると図の様になると思います。数値入力した場合など、多少位置がずれますが修正できるので大丈夫です。

選択領域の位置の修正

 ずれた目の位置を修正するときは[移動]ツール(レイヤーや選択領域の移動)ボタンをクリックします。この場合は少し上(赤矢印の方向)にドラッグします。キーボードの矢印キーも使えますので、選択領域の部分を一度クリックしてから矢印キーを押してください。微妙な移動の場合には矢印キーによる操作のほうがやり易いかもしれませんね。所定の位置が定まったら、選択領域外をクリックするか、「レイヤー」ウィンドウの[フローティング選択領域]で右クリックして、[レイヤー固定]をクリックしてレイヤーを固定してください。
余談ですが、いつも見慣れている顔のパーツの大きさや位置がずれるというのはとても面白いです。それぞれのパーツを別々のレイヤーにコピーして、大きさや形を変えて福笑いで遊んで日頃の鬱憤を晴らすのもGIMPの楽しい使い方の一つです。大いに利用しましょう!

にじみツールで目をパッチリさせる

 今度は目のふちをパッチリさせる作業をします。[にじみ]ツール(画像にじみ)をクリックして、ブラシには適当なものを選んでください。細いブラシでまつげを一本一本描く感じにしてもいいですし、少し太めのブラシにして、全体的にボリュームを増すような修正でも良いでしょう。この場合はオプションメニューの[割合]を50に設定し、ブラシをCircle Fuzzy(07)にしてまつげの部分を全体的に上に持ち上げるようにドラッグして修正しました。あまりやり過ぎるとわざとらしくなってしまうので、ホドホドが肝心です。

肌をなめらかに修整する

 直射日光による顔のデコボコが目立つのでそれを修正します。ここで[選択的ガウシアンぼかし]を使います。その前に拡大修正した目の部分のレイヤーを元の画像に合体させます。修正した目のレイヤーで右クリックして表示されるメニューで[下のレイヤーと結合]をクリックしてください。

 結合されたレイヤーで顔の部分を領域選択します。ここでは[電脳はさみ]ツール(画像からの形状選択)を使用しましたが、使いやすいツールを使ってください。周りとのなじみを良くするために、この場合はオプションメニューで[境界をぼかす]にチェックを入れ、[半径]をおよそ3に設定しました。修整する画像の大きさによって適宜[半径]の値を変えてください。

 領域選択できたら選択部分をコピーします。何度か使っている方はおわかりだと思いますが、画面上で右クリックすると、タブメニューと同じメニューが表示されます。ここから[編集]の[コピー]でコピーできます。画面左上、ファイルタブのすぐ下にある右向きの三角マークのボタンをクリックしても同様の操作ができます。

 コピーしたらレイヤーを作成してそこに貼り付けます。下のレイヤーを非表示にすると右図のようになります。

 [フィルタ]タブをクリックして表示されるメニューから[ぼかす]の[選択的ガウシアンぼかし]をクリックします。[プレビュー]にチェックを入れて、[ぼかし半径]と[最大△]の数値を設定してください。この場合は画像が小さいのでそれぞれ 5と28に設定しました。画像の大きさや肌のシワやデコボコの程度に合わせて変化させて最適な値を見つけてください。作業はこれで終了です。必要なファイル形式やサイズにして保存してください。