ひとりで生きるもん! ~粋がるぼっちと高嶺の花~

「あんたに好きって言われたら、わたしはこう返すしかないじゃん!」

大変読んでいて心地良いラブコメでした。小っ恥ずかしく、青臭い青春の甘酸っぱさが十二分に描かれていてよかった! ライバル? も含め良い人ばかりで、ドロドロしたモノは無いので気軽に読めるのもいいかと。
頑なに可愛い女の子と距離を置く主人公が、彼の趣味である「お笑い」の才能に気づいた学校一の美少女にアプローチかけられて起きる騒動が読んでいて楽しかった。ぼっち的なネガティブな思考を気にせず突っ込んでくるヒロインの千紗が可愛かったですね。

性格の良い可愛い女の子なんか居るわけない、と思い込んでいる主人公というのはよくあるけれど、漫才のネタ添削という名の文通は面白い。アナクロな出会いという意外性が上手くて、掴みはokだったと思います。展開的にはラブコメの王道パターンの一つで読んでいて安心感があった。文章の方も漫才ネタを扱うだけあって、テンポが良くさくさくと読めるのもよい。

学園祭のイベントに出場するときの二人のセリフがまたよかった。「頼むよ、ツッコミ」「まかせろ、ボケ」。コンビ結成を求められ、最初断った主人公がここまでたどり着いた気持ち。その過程がねぇ。距離を詰められ、観念した主人公が開き直って自分の「好き」という想いに素直になった結果ですから。
そして、今度は千紗を追い詰めていく展開となっていくのがまた大好きですねぇ。こういうのってホント恋愛モノの醍醐味ですわ。

サブキャラもいい味を出していたかと。筆頭はヒロインの妹の七海がおませな幼女というずるいだろう的なキャラで大変宜しかった。姉との絡みも楽しくって、胸のことをバラされたあたりは、「あ、ひでぇ」と思いつつ笑ってしまったなぁ。
千紗の母の知り合いという喫茶301の老マスターも頑固者っぽいが実はツンデレという美味しいキャラでしたねぇ。ああいうオヤジキャラは好きなのでこれもポイント高かったです。
あと終盤にちょいと出て来た千紗ままん。これもさばけた人で千紗と七海の母という妙齢の美女。七海が冗談で言った、小五から40までというのはありでしょう、と思わずうなずいてしまったり(最低)

てなわけで、著者の次作もひとつ恋愛系でやってくれたらなぁと期待しています。