堀晃 『マッド・サイエンス入門』 (新潮文庫)

マッド・サイエンス入門 (新潮文庫)

マッド・サイエンス入門 (新潮文庫)

1977〜1978 年に SFマガジンで連載されたエッセイ集.ロボット,宇宙論永久機関ほか SF で多用されるテーマをひとつずつ取り上げ,それぞれのテーマに沿った作品・解説書を挙げながら毎回ユーモラスに解説している.エッセイの名を借りた創作ノートの趣もあり,この手の良書が大抵そうであるように,良質なブックガイドでもあり.読んでいるうちに好奇心と知識欲が刺激され,無性に SF が読みたくなる.とりあえずヨコジュン*1,ヴァーリィ*2,『渇きの海』*3,『自然界における左と右』,石原藤夫あたりはいつか読まねばと思った.特に横田順彌は一冊も読んでいない体たらく.まったくもって私は SF じゃない.
あと先人たちは偉大だわぁと改めて実感した.去年読んだ古橋秀之のリリカルなアイデアを 30 年以上も前に,まったく比較にならないスケールで描いてるんだからとんでもねぇ.というかそれで喜んでいた自分が嫌になる.そりゃ「俺が SF だ!」とか迂闊に名乗れやしませんよねー.他人事のように思った次第.

*1:手元には何冊かある,はず

*2:何冊か積んでる

*3:積んでる

西野かつみ 『かのこん10 〜おわりのはじまり〜』 (MF文庫J)

かのこん10 (MF文庫J)

かのこん10 (MF文庫J)

「葛の葉」との対決編・中の巻.おお,話が動いておる…….エロス分は控え目,少年漫画チックに愛と友情のバトルが繰り広げられる.ピンチを迎えた耕太たち,その前に過去に出会った仲間たちが続々と駆けつける.という展開なのにいまいち燃えないのはそのキャラクターたちの影が薄くて覚えてなかったから.助けに来たぜといわれても,あんた誰だっけ? といちいち首を傾げたのは私だけじゃないはず.他を疎かにしたとは言わないけど,我々の目はおっぱいの方向にしか向いていなかったのだよ! という.まあこの話の場合はむしろ王道が新鮮ではあるし,王道は嫌いじゃない.多々良家七々尾家の双子の献身は良かったと思う.今回は良かったほうかと.

多々良家の当主と握手したときの、あの硬くてざらついた感触は、鍛冶仕事でできたものだったのだ。働く男の手……なんだか耕太はどきどきしてきた。自分はあんな手になることができるだろうか? ふと、自分はもしかしたらファザコンなのだろうか、と思った。どうも、オトナな男の人には弱い……あこがれてしまう……。

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にしても節操無いな!