広まるか 点字メニュー 県内飲食店で導入のきざし
点字メニューを置く飲食店が県内で出始めている。目の不自由な人たちに「耳で聞くよりどんな料理があるかよく分かる」と好評だ。しかし、コストの問題もあり、小規模な店ではなかなか広がらないという一面もある。 (谷岡聖史)
北陸三県でラーメン店「らーめん世界」を展開する翔志(しょうし)(白山市)は二月末、全十店に点字メニューを導入した。
「豚骨ベースのしょうゆ味」「心をこめて作ったチャーハンです」とノートの十四ページに点字がびっしり。全メニューと、めんの硬さやスープの濃さを選べることなどを案内している。
半年前に目の不自由な女性客が来店したことが導入のきっかけになった。その時は盲導犬に店員が戸惑い、「入れます」と即答できなかったという。社長の石野康弘さん(39)は「わざわざ来てもらったのに不快な思いをさせた」と点字メニューを作り、入り口に「補助犬同伴可」のシールを張った。
点訳をした県視覚障害者情報文化センター出版広報課長の加藤純さん(58)によると、県内では全国チェーンのファミリーレストランや居酒屋の一部で点字メニューを置いている。地元の店ではほとんどないようだ。
理由は一ページ当たり約千四百円のコストと、点字のことが「知られているようで知られていない」ことが考えられるという。加藤さん自身も全盲で、「メニューを全部読んでもらって決めるのは大変。自分で手に取れば、人に気兼ねなく料理を選べる」と普及を望む。