教会なしに救いなし

ごぶさただったDave Armstrongのサイトを探索していて、PHLIP C.L.GRAYの以下の論考を発見。当たり前のように「教会の外に救いなし」と言っているが、そもそも訳し方に問題があるという指摘には虚をつかれた。
Without the Church There Is No Salvation

多くの人がラテン語のフレーズ「extra ecclesiam nulla salus」を「Outside the Church there is no salvation(教会の外に救いなし)」と訳す。この翻訳は、ラテン語の意味に完全に忠実とは言えず、このフレーズの間違った理解に貢献している
ラテン語の「extra」は副詞でもあり前置詞でもある。文における使い方によって、この語は異なった意味を持つ。ものの空間的な関係の場合、この語は「beyond(〜を超えて)」あるいは「outside of(の外に)」を意味する(例:小川の向こうに(beyond)木があります/太郎さんは部屋の外に(outside of)います)。概念や実体のないものの抽象的な関係の場合は、一般に「without(〜なしに)」と訳す(例:方法もなしに(without)教えるのは難しいです)。問題となっているフレーズにおいては、「extra」は教会と救いとの間の抽象的関係を表す前置詞である。この語のラテン語のニュアンスも鑑みるに、ふさわしい訳は「教会なしに救いなし(Without the Chuch there is no salvation)」である。この翻訳は、このフレーズの教義的意味をより適切に反映している。

この教義は、Ludwig Ottの定式によれば「救いのためには教会の成員である必要がある」となっている("Fundamentals of Catholic Dogma"p312)ので、たしかに「教会なしに救いなし」の方がすっきりする。こんな単純な指摘すら見逃していたとは不覚。