新名人の若き日 (3)

三森名人

 第30期西部名人位に就いた三森和明参段(写真)の05年3月の棋譜日本海新聞)を紹介しています。


 名人と斉藤健一氏との出会いは、斎藤氏が帰省した04年。
 06年1月、支部対抗戦鳥取県予選で、西部支部(斎藤、岡田順治、三森)は優勝、06年4月、支部対抗戦西日本大会(神戸市)に参加した。大会終了後、三宮で食事したときの三森君の楽しく明るい笑顔が昨日のことのようである。


以降の大会での主な成績は次の通り
06年5月 全国中学選抜鳥取県予選 準優勝    
06年11月 市民将棋大会 Aクラス3位
07年2月 高木杯=海の幸-争奪将棋大会 団体Aクラス3位・西部支部A(斉藤、阿部広之介、三森)
07年3月 朝日アマレーティング山陰大会 Aクラス3位 
07年4月 山陰名人戦記念将棋大会 Aクラス準優勝
07年6月 全国中学選抜鳥取県予選 優勝 
07年10月 西部名人戦挑戦者決定大会 Aクラス優勝

第3譜:棋風

05年(平成17年)3月19日
米子市皆生温泉 西部支部道場*1


▲三森和明(米子市、12歳)
斎藤健一(大山町、23歳)



(C図から)▲5九桂△8九飛成▲6四歩△7二歩▲8二龍△6四銀▲9一龍△1五歩▲6八香△4四馬(D図)


 西部支部道場においては、斎藤さんは「級密(ちみつ)流の佐藤康光棋聖に似た深い読み」が特徴、三森君は「筋のよい終盤の強い将棋」と評価されている。
 後手の斎藤さんの二手目△8九飛成は長考の後の着手。ここで、△1五歩を考えたが読みきれなかったという。以下、▲7八龍△4九飛成▲同銀△3九銀となるが、寄せきれるか微妙なところ。▲8九飛成には、厳しい攻めを含みにし、桂を補充して次に△1五歩とする狙いがあった。
 先手三森君は、三手目▲6四歩と急所の攻め。後手△7二歩の受けに▲8二竜ほ迷ったところ。▲6三歩成△7三歩▲5二と△同金の二枚換えで勝負だった。
 局後の感想戦で斎藤さんがこの順を指摘すると、三森君は黙ってうなずいていた。多くを語らない三森君であるが、対局中この順を考えていたのではないか。
 大事に指すか、勝負に出るか、気持ちの選択が▲8二龍とさせた。
 この一手で将棋の流れは変わり、八手目に後手は待望の△1五歩からの端攻めの順がまわった。
 先手九手目▲6八香は3九への馬の効きを消す意味でやむを得ないが、△4四馬が好手順で、先手劣勢は否めない。

*1:00年8月〜05年4月は皆生に道場があった。