出版評論社Presents 出版評論〜Live版・第4刷「編集の鉄人〜本日の素材は岡田斗司夫」

「編集の鉄人」とは、書籍編集者達が「決められた素材」で商業書籍を作り、 売り上げを競うガチンコ勝負。カネとクビがかかっているだけに本気です!  今回の素材はオタキングこと評論家の岡田斗司夫。岡田氏を素材に各社編集者が腕を振るいます。観客の方も投票を通じて企画決定に参加! 本ができるまでの過程がオープンになることは滅多にありませんので、本好きから業界志望者、業界人も必見のイベントです。
第1部「私は岡田斗司夫をこう売ります〜各社企画書発表・投票」
第2部「公開!会社別岡田斗司夫本編集会議」

司会進行:大内明日香(出版評論家)
ゲスト:岡田斗司夫(評論家)、村中宣彦(三才ブックス第二編集部編集
長)、藤森英明(イーグルパブリシング代表取締役)、A野T明(T社編集)、他
Open18:00/Start18:30\入場料1000円(飲食代別)

前回(http://d.hatena.ne.jp/kasindou/20060418)に引き続き行ってキター。ロフトプラスワンに最近よく行くなあ。
ワールドカップのせいか会場はスカスカ。全部で40人くらい?


司会の大内明日香&&食材岡田斗司夫登場。人が少ないぶんサービスする!と宣言して6時半スタートの予定が15分過ぎて開始。
岡田斗司夫を食材に、売れる本作りを編集者が競うというこのイベント。
前回は企画会議だったけど今回はプレゼンと本の内容なんかの打ち合わせが中心。


まずはイーグルパプリッシングから。
ここは出版社としては小さいけど社長が出版物を決められるのがウリ。企画は前回の話には出なかったネタだけど
岡田斗司夫ルネッサンスを語る』
岡田斗司夫に現代のイタコになってもらって、ルネッサンス当時の人々の考えていることを語ってもらう、という内容。ダヴィンチはプチクリの走りだった、というのがウリ。
もうひとつ、当日社長に降りてきたという企画があって、
秋葉原岡田商店本日開店』
秋葉原岡田斗司夫が地下2階地上8階のビルを持ったら、どのようなお店を開くかをシミュレーションした内容。
岡田氏曰くルネッサンスのほうはためになるけど大変そう。秋葉原のほうは現状の不満を書けばいいから簡単そうだけどモチベーションが10日しか持たない、というような感想。石原都知事との書簡をでっちあげたりして、ニセドキュメントにしたら面白いのではないかとも。
いきなり出版部数が7000部で、値段が1500円で……という話が始まるのが生々しくてステキ。


次は三才ブックス
こちらは中堅。とはいえ編集者が二人でやってたりして。
企画はずばり『「王立宇宙博物館」の愛蔵版本』。
2800円で限定フィギュアつきで3万部、という鉄板な企画。今までモノマガジンやサイトで語られてたことを本としてまとめるという内容で、しかも王立宇宙博物館は原型は作ってあるけど未発表なモノ(宇宙ステーションやシャトル、V2ロケットなど。原型は谷明!モリナガ・ヨウが解説マンガを書いた海外版パンフとかもあるそうな)が多いという作る分にはすぐ出来るかなり有利な企画。3万という数字もいいし海洋堂*1のOKが出ればいけそう、という感触。


最後は大手T島社。
いきなり社内会議での足切りラインの話などする大久保一人(芸名)氏。ヘタな企画は即ボツになるそうな。
岡田斗司夫マインドマップを書いて考えたところ、ネタはズバリ
オタク・イズ・デッド
大内氏の取った録音ファイル(現在同人誌用にテープ起こし中らしい)を聞いて、やはり面白かったし、オタクを入り口にタコツボ化から砂粒化した現代社会を語れるのではないか、という30代へのエールになるような本にしたいとのこと。
ちなみに岡田氏が会場で泣いたのは「これからみんな大変だ」と思ったからだそうですよ。DVDも撮ってあるらしいぞ。
ただ内容的にはまだ薄いので、ニュアンスで語った部分を論理的にふくらませるとなるとけっこう手間がかかりそう。
本のほうはオタクだけじゃなく一般的な社会の話へつなげるのが大事で、オタク側の反論も入れたらいいのではないかとか、夏コミの同人誌版がそのまま初稿になるのではないか、とかそれなりに盛り上がるも7000部作るとしたら企画会議で通るかはまだまだ不透明とのこと。
ここで休憩。3社の企画のどれがいいか投票してもらうことに。


休憩後は3社揃ってのトーク
投票結果はやはりオタク・イズ・デッドが強くて20票。
ルネッサンスの企画は善戦して10票、アキバ店も9票。
三才ブックスの企画はガチ過ぎてつまらないのか7票。
イーグルが変化球でも『本』として作ってるのに対して、三才ブックスは『商品』で来てるという対比が面白い。アキバ店の話は岡田斗司夫を美少女店長にして小説で書いてはどうか、とかいう話も。大丈夫か。
オタクイズデッドは本屋のどこに置いてもらうかが勝負。新書は平積みじゃないと売れないので、うまく人文系のところに置いてもらえたら、とT社のお話。オタク学入門2のラストがオタクイズデッドになる、という予想があったので、オタク学入門2として売れば結構行けるのではないか。編集の営業は筆者と取次と小売りにかけるというお話が生々しい。そういえば『萌え』や『美少女ゲーム』という言葉は商標登録されてるそうな。いろいろ大変なのでこのユルいイベントでさえも詳細はしゃべってもらえなかったのがちょっと残念。


最後はこの企画の評価基準について議論。
『売り上げ』『部数』『ヤフー検索ヒット数』『アマゾン最高順位』『2刷までの期間』『アマゾン・mixi書評の数』『イベントでの投票』なんかを総合的に判断してトップを決める話に。アマゾンの書評って営業が友達に頼んで書いてもらってるそうですよ!


あと商品は岡田斗司夫自腹の巨大トロフィーと、大内明日香自腹の現金10万円に決定。次回は8月のコミケ後にやる予定。果たして企画は通るのかな?
雑誌『創』にもこのイベントの詳細が連載されるらしいぞ。


オタク・イズ・デッドの話題が出ると心穏やかになれない俺ですが次回も行こう。

*1:値段は原型より塗装行程によって決まるらしいぞ