『ステイ・フレンズ』をレンタルDVDで鑑賞。
ニューヨークでヘッドハンティングを生業にしているジェイミーはロサンゼルスでアートディレクターをしているディランに目をつけ、有名雑誌社に転職するように説得する。同時期に似たようなフラれ方をしたこともあって、恋愛観から何から考え方が似ている二人はあっという間に意気投合。互いの家を行き来したり、飲みに出かけたり、ランチを食べたりするような間柄になる。ところがある日、ジェイミーの「セックスがしたい」という発言をきっかけに、二人は感情も恋愛もなしでセックスを純粋に楽しむセックスフレンドとしての関係を結ぶ。互いに恋愛の対象として見たことがないと言っていたのだが、徐々にその関係に変化が現れ始め……というのがあらすじ。
前半恐ろしいほどのスピード感で観る者を一気にその世界に引きずり込んでいくのが特徴で、二人の恋愛観がほぼ一緒というのをしめすためにカットバックを使って、二つのシーンを融合させるなど、のっけからうまいなぁと思わせる作り。さしてセリフも早いわけではないのだが、そのスピード感も含め、ハワード・ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』を彷彿とさせるスクリューボール・コメディであり、前作の『Easy A』同様、古典的な映画のかほりを漂わせる。
基本的に物語はよくあるヤツで、間違いなくそういう風に進んでいくだろうという予想を一向に超えない。聖書に手を置いて、誓いをたてるシーンではiPadに聖書のアプリを入れてたりと現代的な要素をふんだんに絡め、古典的な物語をこじゃれたものにしている。TVドラマの『フレンズ』や『セックス・アンド・ザ・シティ』の1エピソードを二時間に拡大したものといえば想像しやすいだろうか。
逆にいえば、テンプレ通り進んでいくラブコメにどれだけ自分のやりたいことをすべりこませられるかという部分に趣を置いてるように思える。とにかくこの作品、細部の設定が本編にまったく関係ないものばかりなのだ。ハリウッドの看板に昇って警察に救出されたり、マジックにこだわる甥っ子がいたり、アルツハイマーのお父さんがいたり……ただそれが圧倒的なリアリティとおかしさを生んでいる。そして、時にそれが物語の推進力になっているところがあり、さらに複線になっていたりと、とにかく良くできている。
主演二人のために脚本を書き直したというだけあって、彼らはすこぶる魅力的。彼らのやりとりを見るだけでも、作品を観る価値があるといえよう。それにしてもアメリカ人に人見知りっていないのかなぁ。いや、いるはずなんだけど、あそこまで社交的な人を見ると日本人とはまるで価値観が違うなぁって思ったり……
というわけで、突き抜けた何かがあるわけではないのだが、抜群の安定感にほんの少しひねりを入れたラブコメということで楽しめた。ただし、セフレ問題を絡めてるわりに展開は本当にベタベタなので、いわゆるひとつのラブコメというものに興味がなければ、そこまでおすすめはできない。あういぇ。
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