インナーワーク(体の内観)のすすめ

さて、ここから少しみなさんがご家庭で出来る簡単なワークを紹介してゆきましょう。


それは,自分の体の状態を感じてみる。鏡で見たり整体師から調べてもらうような客観的な状態ではなく、自分の実感レベルで捉えてみます。


これから先、いくつかのワークを紹介する予定でいますが「客観よりも実感を大切にすること」が、すべてのワークに通ずる約束事です。


それから、コントロールしようとしないこと。例えば自分の実感として体のどこかが歪んでいることを感じたり,実際にどこかに痛みがあったとしても、それを取り除こうとはしないこと。

たとえ、客観的に歪みが認められ、医学的検査においても問題があったとしても、「治療は明日かあさって」に遅らせて、まずは今の自分の体は何を語ろうとしているんだろう,と感じ空想してみる心と時間にゆとりを持つこと、これがもう一つの約束事です。

(もちろん、様子を見ていて24時間以内にどんどん具合が悪くなってきたなら、つまり実感としてこれはまずいと感じたなら速やかに病院へ直行してください。)


たぶん、この辺で他の整体師とは見方が異なるかもしれませんが、もし私の語ることに違和感を抱かないようでしたら、そしてよくわからないけど興味が湧くようでしたら、これから先、紹介するワークを是非試してください。

 骨盤のインナーワーク

1,まずは,自分一人だけになれる時間と空間を確保してください。
ワークの最中は、電話も留守電として出ないように心がけて下さい。
静かに座り、少し呼吸を整え、心を落ち着かせます。


2,自分の骨盤に注意を向け、今現在の骨盤の状態をあなたなりに感じてください。それは、どんな感じでしょうか? 実際の骨盤の状態を手で触れて確かめるのではなく、骨盤を意識したときに感じられるものです。
(例えば、ある日私が自分の骨盤を感じたとき、両側が前へ出て、少し上へも上がっている感じがしました。)


3,それが感じられたら、たとえそれが自分の気に入らない感じであっても、何かヘンだなと感じても、絶対に意識的に骨盤を正そうとはしないで下さい。むしろ、その歪みがよりはっきり感じられる体勢を作ってみたら良いでしょう。


4,そのまま、骨盤を感じていてください。するともしかしたら、骨盤が自然に少し動いてくるかもしれません。たとえその動きが歪みを強調するような方向であっても体のすることに委ねてください。(そのときの私の骨盤は、右は開いてゆき、左はより前へ出るように動きました。痛みはなかったのですが、少し不安でした。)


5,動きをある程度、自然に終わるまで動くに任せます。動きが終わると、今度はそこにある種の感覚が生じてくるかもしれません。熱いとか冷たいとか重たいとかいった感覚です。あるいは内的に、骨盤は動かなくても中では動いている感じが起こるかもしれません。(そのときの私の骨盤の動きは、歪みを残して終わり、その後内部で何かうごめいている感じがありました。)


6,そのまま骨盤の内側を意識しつづけてください。違和感があっても絶対に何もしようとしないこと。
そして、今度は今の感じを「音」で表すとどんな音になるだろう、と少し想像しながら耳を傾けます。そして中から聞こえてくる音を聴きます。もし、音が聴こえてこなければ、無音の音を聴きます。(そのとき私の骨盤からは、ドッドッという音が聴こえてきました。)


7,それから、今の感覚と音はどのような「色」で表せるでしょうか?もし色が見えてこなければ無色の色を眺めていてください。(そのとき私の骨盤からは、とくに色は浮かんできませんでした。)


8,今骨盤に起こってきた動き、感覚、内的動き、そして音や色から、どのようなイメージが浮かんでくるでしょうか?それが浮かんできたら、あたかも夢を見ている如くにそのイメージの世界に入り込み、イメージを展開させます。(そのとき私の骨盤からは波に揺られて前進している船が浮かんできました。)


9,そのイメージは何を象徴または暗示しているのでしょうか?イメージにタイトルをつけるとどんなタイトルになるでしょうか?(そのときのイメージのタイトルは、波にゆられて前へ進む)でした。


10,そのイメージの世界の創造主になったつもりで、その世界から現実を眺めてみましょう。すると、どのように見えるでしょうか? イメージの創造主が現実の自分に何かアドバイスするとしたら、どんな言葉が浮かんでくるでしょうか?
(そのときの言葉は、「波に逆らわずにいれば前へ進む」という言葉でした。)


このようにして骨盤を内観して浮かんできたイメージと言葉は、今現在の「体の流れ」あるいは「無意識の心の流れ」を暗示しています。
それから、最後に再び自分の骨盤を感じて見ましょう。おそらく、少し感じが変っていることでしょう。

 症状のインナーワーク

 今抱えている身体症状にも、この方法は役立ちます。

たとえ、痛みや違和感があっても、決して治そうとはせず「この痛みは私に何を語りかけているんだろう?」と冷静になって体の中を感じてください。しかし、治療が不要だと語ろうとしているのではありません。私は治療するとき、この人のこの症状は何を語ろうとしているんだろう?と感じながら整体をしているんです。


むしろ、治そうとしないほうが治ることに結果的につながる、ということをみなさんにも実感として知って戴きたくて、この方法を紹介しているんです。
なぜかというと、症状そのものが体と心のバランスを取ろうとしているからです。
その「自然の働き」を邪魔しないで治してゆくほうが、長い目で見て心はやさしく強くなれ、体はより丈夫になるのです。


症状に対する方法も基本的には同じです。


症状をむしろ心から迎え入れ体験を深めるつもりで、じっくりとその症状を感じ、そこから起こる動きに身を委ね、聴こえてくる音を聴き、色を眺め、空想します。


しかし、いきなり症状に取り組むのはやはり心の準備が必要でしょう。
なぜかというと、やはり心に抵抗や恐怖感が生じるかもしれないからです。
その抵抗と恐れを抱く事なく、いきなりそこにチャレンジ出来る方にはとても敬意を表します。

でも、まずは健康法と瞑想のレッスンのつもりで、体の要である骨盤からやってみることをお勧めします。


そして、症状についてはやはり私の指導、誘導のもとにやられることをお勧めします。