「日本の電力事情」考

 「浜岡原発の現在稼働中の全原子炉停止」(但し、津波対策の防潮堤新設までの期間)という菅首相の要請に従い、5月9日、中部電力はその要請を受け入れました。これは日本の原子力発電が、国民の安全と安心の保障のもとでなければ稼働できないことを意味します。ここにきて原発を地域に持つ自治体の首長の発言も一段と重みを増してきています。
 さらに菅首相は、これまでの「2030年時点で原子力発電に全電力の50%まで依存(現在27%程度)する」という、既存の政策の見直しにも言及しました。まさに原子力政策のターニングポイントを迎えた感を強く持ちます。
 
 上図は「日本のエネルギーの使われ方」を示しますが、'90年代から”民生”が占める割合が急増しています。これは電力、ガス、石油などのトータルですが、ここを押し上げたのは、家庭やオフィス、街の照明など、生活の快適さ利便さを向上させている「電化」という名の下で、電力が最も寄与しているのは明白でしょう。
 電力政策の見直しについては、原子力発電の需給実績を現状の25%程度に据え置くとしますと、まずは消費電力の量的抑制として、全体の”節電意識向上(15%目標)”が前提になります。電力供給面では「再生可能エネルギー」開発の期待もありますが、”民生分野”の戸別自立発電化(太陽光、蓄電池、燃料電池等)、”産業分野”の自家発電移行等で、電力会社の発電補完勢力を拡充する方向に進むように思われますが如何?
 現役リタイアのシニアも決して傍観者になることなく、国全体の問題として、次世代のためにも、社会参加型の情報発信をしていく時です。