「時」と「時間」のコンニャク問答

 6月10日は「時の記念日」です。近年は時の記念日と言っても余り話題にならないようですが、以前は学校でもこの日は、時間の観念などについていろいろ諭されたものです。
 日本語では「時」と「時間」は使い分けていますが、英語ではtimeが時でhourが時間を表す単語かと思うのですが、本場でのその使い分けは私はよく解かってはいません。
 それでは、日本語での考え方や使い分けについて、<時チャン>と<時間クン>との間で交わされる次なる問答からいろいろ考えを巡らせてみてください。<時間>「”時”には記念日があって、世間的には”時間”より扱いが優遇されていないかね」<時> 「時の記念日は西暦671年太陽暦6月10日に天智天皇水時計(漏刻)を新設、時を知らせたのに基づいており、時というものを歴史的に認知させた由緒あるものなのよ」<時間>「ああ、落語の”時そば”でいう『いま何どきだあー?』という、秒、分、時、日、週、月、年など単位の始まりだったということかな」<時> 「時間、時間と言っても所詮時の集合体みたいなものでしょう、時は時間の構成要素そのものよ」<時間>「それは認めるけど、時間は”時の長さ”のことだよ。時の流れの2点間のある一瞬を日本語では”時刻”と言っているな。さらに意義があるのは、時間は空間という考え方もあるんだ」<時> 「ではテレサ・テンの『時の流れに身をまかせ』は『”時間”に身をまかせ』と略してもいいわけね、ちょっとセンスはないけど」<時間>「”空間”のことで専門的になるけど、いま3D(3次元)が映像世界で取り沙汰されており、3つの空間が集合体の占める次元とされてきたが、4次元空間という考え方があるんだ」<時> 「話をあまり難しくしないでね」<時間>「わかった、簡単だよ。3次元までは物理的空間の話だったが、4次元の世界では数学的空間が加味される、すなわち1次元(線)、2次元(面)、3次元(立体)にプラスして4次元(時間)が4つ目の空間として認められたって言うわけさ。」<時> 「そうか、この宇宙は3次元(物理)空間と、もう1次元時間(数学)からなる4次元空間ということで表されるのかア。よく解からないところもあるけれど、”時”も”時間”ともどもしっかり全地球的に貢献していることが分かって安心したわよ」<時間>「アタマを元に戻してみると、時、時間に関する諺、名言、名文句が数多くあり、人生の教訓になるものがたくさんあるね」<時> 「人生80年と言っても、現在・過去・未来の中ではほんの一瞬だものね、大事に生きなくっちゃもったいないわよ」<時・時間>「われわれ日常生活の中で、時や時間の観念をもっと大切にしなければいけないね、”光陰矢のごとし”、”時は得難く失い易し”なんかなかなかの名言だと思うよ、同感!」