蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ジョージ・シドニー監督の「愛情物語」を見て

kawaiimuku2012-05-25



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.254

これは今までに何回か見ている映画で、でもやっぱりキム・ノヴァクは色っぽくていいなあ、どこか謎めいたところがあるのがまたいいなあ、きっといろんな男といろんなことをしてきたんだろうなあ、とか、彼女の「手が綺麗な男が好き」というセリフはおいらもどこかで言われたことがあるなあ、とか、強風が吹くと凶事が起こるというのはちょっと古臭いクリシェだなあ、とか、せっかくのショパンの夜想曲カーメン・キャバレロによってこういうふうにズンタカズンタカ弾かれてしまうともう俗悪すれすれだなあ、とか、おや、このピアニストが最初に故障した指は確か右だったのに、いつの間にか左手を痛がっているのはどういうわけなんだろう、とか、実在した主人公のエディ・デューチンは甘いマスクと清潔感を漂わせているのに、どうしてタイロン・パワーのような脂ぎったオッサン役者を起用したんだろう、とか、でも映画の中で主人公が息子と最終的には和解できて2人で連弾するとこはなんだかグット泣けてきたなあ、とか、とかとんとん思っているうちに主人公が白血病で死んでしまうと可哀想で涙がチョチョ切れて、しかしこの映画の原題は「エディ・デューチン物語」なのに、いったいどうして邦題は「愛情物語」などというバカげたタイトルなのだろう、とまたしても考え込んでしまったのだった。

お台場がお台場がと二言目には抜かすフジテレビ大地震で即海没する職場のどこが楽しいのか 蝶人