拉致問題

飯塚繁雄さん 飯塚耕一郎さん講演会>
お二方の講演会を聞くのは、2度目である。大韓航空機爆破事件の北朝鮮工作員であった金賢姫さんに、韓国で会ったあとの講演。
前半は、田口八重子さんが拉致されてから、今までの経緯を繁雄さんがお話になり、後半は耕一郎さんが自分の境遇と、現在の状況をお話になった。
内容としては、いままで何度も報道されたり、講演されてきたのと、それほど変わりはないが、待ちつづけている家族の高齢化を思うと、さらに強く解決の糸口が見つかってほしいと願う。

田口八重子さんが、“死亡”であると聞いたのは、ちょうど海外出張中で、電話で父から聞き、電話を代わった母が『ごめんね』と言って号泣しているのが聞こえたんですよ。そのとき、田口八重子さんが死亡していたという悲しみより、『かあちゃんを泣かせた北朝鮮がにくい』と思いました。そのあと、近くの公園で、ずっと泣きました。どのぐらい泣いていたのか覚えてません』

耕一郎さんの話は、以前にもまして、力強く思えた。


講演後、質問時間がとられた。
「今、北朝鮮に対して、制裁措置がとられていますが、それは北朝鮮の態度を硬化させるだけで何も意味がないんじゃないんですか。北朝鮮に対して、日本はきちんと謝ってないから、こういうことになっているんじゃないんでしょうか」
いまだにこういう考えを持っている人がいることに驚いた。これに対し、繁雄さんは声を荒げるでもなく
「今まで何もしてこなかったわけではなく、対話し、支援してきたにもかかわらず進展しなかったので、強硬手段をとることになったと、わたしは聞いています。それ以上のことは、わたしもよくわかりません」
拉致被害者の救出は、被害者家族がするのではなく、日本政府がしなくてはいけない。その方法を、被害者家族に問うのは、間違っているだろう。


「耕一郎さんは、金賢姫さんに会ってから、何か自分自身が変わったというところはないですか」
そんな質問もあった。耕一郎さんは、すこし戸惑いながら
「特に、自分自身が変わったとは思っていません。田口八重子さんに対する気持ちも同じです。顔も覚えていないひとを、母とはまだ呼べません。でも、最近、自分自身の感情を表現することに、抵抗を感じなくなりました」
人前に立つということに慣れたこともあるだろうと思う。


何にせよ、拉致問題の早期解決を祈る