その2

今回も名曲中の名曲を紹介したいと思います。
実際にまだ音源が入手できる物から紹介していきたいなとも思っています。



1:曲名

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より、夜明け、全員の踊り

2:演奏団体

埼玉栄高校吹奏楽部(指揮:大滝実先生)

3:演奏大会名及び年

全日本吹奏楽コンクール第34回大会(1986年)

4:曲紹介

 作曲はモーリス・ラヴェル、1912年初演 編曲ロジェ・ブートリー、
かの有名なロシア・バレエ団、バレエ・リュッスの座長ディアギレフの依頼で制作しました。当時ディアギレフのバレエ・リュッスと言えば、ファリャ、ストラビンスキーなどすばらしバレエを次々と依頼し、評価を受けていました。さらに、初演は当時の豪華メンバーで行われました。
 物語は、ダフニスという青年と、クロエという美少女を中心に、ダフニスを誘惑する人妻リュセイオン、恋仇の羊飼のドルコンなどが登場し紆余曲折ありながら、最後はハッピーエンドになるという、お話です。人妻が登場するなど結構リアリティがあるような作品ですが、音楽はすばらしい物があります。
 有名なのは第2組曲で、この「夜明け」、「全員の踊り」も第2組曲の中にあります。全曲はもともと3場に分かれており、第2組曲はその第3部ほぼそのものになります。「夜明け」はまさに夜が明けるようにオーケストレーションがすばらしく、何度も太陽の動機を潜り抜け、頂点に達します。「全員の踊り」は最後のシーンであり一番盛り上がるシーン。ダフニスとクロエが2人のニンフに感謝し、村人達もニンフとパンの神に感謝します。壮大な、沸き立つようなバッカナールです。
 非常にラヴェルらしいオーケストレーションできらきらした、きれいな、そして綿密な構成で作られた作品です。

5:個人的評価

 今となっては「ダフニスとクロエ」は有名中の有名曲ですが、この埼玉栄の演奏が一大ブームを起こしたきっかけとなった演奏です。なぜかと言えばこの年まではこれを含めてたったの4回しか演奏されなかったのですが、翌年は3団体、さらに翌年は9団体とそして、最近でも課題曲がマーチの年では必ずと行っていいほどお目見えする曲となったのです。
 埼玉栄高校は今は押しも押されぬ埼玉の超一流バンドですが、この年は出場2回目、さらに初金賞という演奏でした。たしかに、前年度とは違い人を魅了させる力を持った演奏でした。「ダフニスとクロエ」のもつ特性をいかし、最高の演奏をしたと思います。今までで3回演奏してきていますが、どれもいい演奏ですが、やはり原点がいいかなと思い、紹介しました。
 私がこの曲を聴いたのはこの演奏が初めてで、友人の持っていたCDを借りてよく聞きました。全ての演奏者が一丸となって演奏し、最高の盛り上がりを見せています。CDで聞いてそのレベルですから、実際に演奏を聴いたら相当凄いんだろうなと思います。ラヴェル自体のほかの曲はどういう物なんだろうとここから派生したのも事実ですね。今となってはこの曲も複数枚CDを持ってるかなと。今までいろいろな演奏を聴いてきましたが、埼玉栄の「ダフニスとクロエ」が一番力があって名演だと思います。
 「ダフニスとクロエ」自体がやはり難曲ですから、実際に演奏する側は相当大変なんだろうなと思います。
 


それでは、また次のお話で…