『トランスフォーマー』

kenboutei2007-09-04

会社帰り、マリオンの日劇1で。
製作スピルバーグ、監督マイケル・ベイの『トランスフォーマー』。考えてみると、これが今年最初の新作ロードショー映画の鑑賞であった。
マイケル・ベイは、『アルマゲドン』くらいしか観ていないが、あの映画は案外嫌いじゃない。バカバカしいストーリーを、くそ真面目に描いていたところに、好感すら覚えたものである。
今回の『トランスフォーマー』の感想も、それに近い。
「車がロボット(のような生命体)に変身するなんて、まるで日本のロボット・アニメみたいだなあ」なんて思って観ていたが、オリジナルは日本のオモチャで、それがアメリカで人気になりアニメ化もされていたのを、今回改めて実写化したということは、全く知らなかった。そういえば、こんな感じの異形のヒーローが数名出てきて、悪者と戦うアニメを、アメリカのテレビではよく放送していた。(日本人からすると、全然格好良く見えないヒーロー達なのだが。)
他愛もない子供番組の映画化に、アメリカ軍の最新鋭機を出演させ、圧倒的な情報量のCGを駆使し、一体どれだけの金を使っているのだと思わせる程の超大作にしてしまうのは、全くもって畏れ入る。こんなこと、アメリカしかできないよなあ。
映画の中身は、トランスフォーマー同士や軍隊とのバトルが延々と続くわけだが、その過程で、オタクっぽいモテない少年の成長を中心とした、ハリウッド映画の骨法を踏まえた筋の運び方をしている。
最近個人的にはまったシット・コム『パパにはヒ・ミ・ツ』を思い出させるような、家庭内のドラマや、いわゆるジョックとナード(というかギーク)の階層対立なんかもさりげなく描いていたのが、興味深かった。母親が、部屋にこもる主人公に「自慰してたのか?」と聞いたり、その部屋に女の子がいたことがわかると、父親が息子とコブシをぶつけ合って喜ぶ場面なども、面白かった。
カー・チェイスを含めたアクション・シーンの派手さとバカバカしさに、声を立てて笑ってしまうところもあった。
主人公がトランスフォーマーにとって大事なキューブを預かって逃げる場面で、ヒロインの女の子と一時的に別れる時は(それまで一度もキス・シーンがなかったので)、当然女の子からキスをして、主人公を鼓舞させるような演出にするのかと思ったが、それはなく、そのまま二人はそれぞれトランスフォーマーとの戦いに突き進む。この辺りが、何となく、マイケル・ベイらしいと思った。(結局、平和が訪れた後、二人は車の上で、ゆっくりとキスするのであった。)
題材は日本から得ているものの、いかにもアメリカン・テイストな作りの映画となっているが、密かにダムの内部(それがフーバー・ダムであるというのも面白い)に隠していた悪のトランスフォーマーが、氷づけの威容を見せるシーンは、思わずニセ・ウルトラセブンの登場シーンを思い起こさせ、ワクワク感が甦った。
日本の過去のロボットアニメの数々も、スピルバーグに頼んで映画化してくれれば、どんな感じになるのだろうか。
(ハリウッド版『GODZILLA』のようになる可能性も高いが。)
主人公シア・ラブーフは、ヤンキースのポサダ捕手に似ていた。ヒロインのミーガン・フォックスが、結構魅力的。久しぶりに見たジョン・ボイドは随分太っていたなあ。
全部で2時間30分近く。長尺にもかかわらず、色々なものを詰め込み過ぎた感は否めない。トランスフォーマーの造形もバトルも、同じく情報過多。もっとシンプルな作りで良かったのに。
ただ、ハード・ロック中心の音楽は、この騒々しい映画にはちょうど良かった。
続編も作られるそうだが、自分はもうこの一作でお腹一杯。
ヒットしているという割には空いていた。(公開してひと月経っているし、平日の最終回だから、こんなものかもしれないが。)