knjrの日記

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脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体

  • ヒトが社会的に評価されて喜びを感じるときと、ギャンブルやセックスなどの生物的な快楽を感じるとき、ギャンブルやゲームなどの我を忘れているとき、全てのケースで分泌される物質はドーパミンというすべて同じ物質。動物の中でヒトだけが遠い将来のために作物を育てたり、家を建てたり、村や国を作った、化学や芸術といった、一見すぐに役立つかどうかわからない物事に脳を駆使することで、自然の驚異を克服してきた。そうした行動は時として、目の前の欲求とぶつかり合うことになるが、その葛藤を克服するために、ヒトは脳の中に快楽物質という「ご褒美」を用意し、遠い目標にむけて頑張っているときにそれを分泌させう仕組みを築きあげたのではないか。
  • ヒトは「頑張っている自分へのご褒美」であるドーパミンがうまく働いている限り、私たちの脳は何かを達成することに快楽を感じ、程度の差はあるが、結果として努力を続けることが出来る
  • 実はランナーズハイも脳内麻薬の一種のオピロイドによる現象である。限界に近い運動を続けることは苦痛であるので、脳はこの苦痛を和らげるためにオピロイドを分泌し、その鎮痛作用を利用するのであるが、そのときに同時に幸福感や爽快感が訪れる
  • アルコール、セックス、ギャンブル、ニコチン、全ての依存症には、一つだけ共通点がある。それは依存対象に接している時に、ヒトの脳の中にはドーパミンが分泌されているということ。依存症が進むと、依存対象をに触れていても、いままでは得られた快楽が、あまり感じられなくなる。これはドーパミンの受容体が減少するために起こることと考えられている。その結果、快楽を得ようとして、依存の度合いが強くなる(酒やたばこの量が多くなる)、ドーパミンを受け取る側の神経細胞自体が変化し、最終的には依存が脳のなかに永久に記録される。こうなると脳神経が戻れなくなり、依存症から脱出が困難になる。
  • ヒトの脳は自分の体重を知り、コントロールしている。その役目を果たしているのは脳の視床下部脳は神経細胞から分泌されるレプチンの濃度を知り、高ければ食事の量を減らして代謝を上げ、低ければ食事の量を増やして代謝を下げるという方法で、体重をコントレールしている。これがダイエットをしていても体重が減りにくい停滞期があったり、リバウンドになったりする理由。さらに体内には自分の食べる量をモニターして食欲や満腹感をコントロールするシステムがある。胃・腸などの消化管には「センサー細胞」があり、摂った食事の量やカロリーを計っており、センサーから脳の視床下部と室房核というところにホルモンを介して信号を送り、2種類のホルモンの分泌量により摂食をコントロールする。
  • 人間の体重は後天的な要素にかなり影響を受けるが、その要素に変わりがないとすれば、その8割が遺伝子によって決定される。ヒトの食事中にドーパミン放出量をモニターすると、食事中はドーパミンの量が増え、食事が進むにつて減っていく。また肥満体は痩せ型のよりもドーパミン放出量が少なくドーパミン受容体の数が少ないために、いつも満足できない状態ある。
  • ヒトは承認、評価、信用、信頼、尊敬などの社会的報酬に対してもドーパミンを放出する。例えば、「(あなたは)素晴らしいね」「(あなたは)頑張ったね」という言い方は(あなた=YOU)という意味でYOUメッセージよりも、「(私は)あなたの凄さには毎回驚かされる」「(私は)あなたの作品にかんどうして涙がでそうになった」といいうIメッセージのほうが「あなたの価値を認めていますよ」という気持ちが十分伝わり、社会的報酬としての価値も高い。
  • 無慈悲で自己本位的な行動をとる人ほど、AVPRIVA遺伝子の長さが短く、バソプレシンというホルモンの分泌効果をあまり感じられない脳であるということがわかってきた。親の育てや環境で決まると考えられてきた性格傾向が、実は遺伝的な要素により左右されている可能性がある。