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唐沢俊一検証blog

2009-07-09

ウッーウッーUMAUMA。

15:32

 『ラジオライフ』8月号掲載の『唐沢俊一の古今東西トンデモ事件簿』第47回は「盗撮」をテーマにしているのだが、そのなかで「ネッシーの写真」の話が出てくる。ネッシーを撮ったってそれは「盗撮」じゃないだろう、というツッコミは藤岡真さんが「机上の彷徨」6月25日で既にやられているからそちらを参照していただきたいが、P.152〜153にはこのようにある。

 ネッシー写真の中でも最も有名で、私の子供時代の雑誌の定番だったのが、いわゆる“外科医の写真”というやつだ。みなさんも1度は見たことがあるだろう。いかにも首長竜、という感じの恐竜の首が水面から突き出しているやつである。シンプルだが、それだけに力の入った写真といえる。この写真は、1934年4月、ロンドン婦人科医、ロバート・ケネス・ウィルソンによって撮影されたものである(何で婦人科医が撮ったものなのに“外科医の写真”なのかはさだかではない)。ウィルソンはその日の早朝、バードウォッチングをするために友人と車でネス湖のほとりの道を走っていた。その時、友人が湖面が急に波立つのに気がついて車を止めると、巨大な生物が水面に首を出した。

 2人は驚いて、鳥の写真を撮るために車に積んでいたカメラで、大急ぎで撮影した。彼らに気がついた怪物は、メル・ギブソン並にプライベート写真が嫌いだったらしく、あっという間に水底に姿を没してしまったという。

 この事件は、発表から60年経った1994年、上記エピソードの中でウィルソン医師が“友人と車の中で…”の、その“友人”であるクリスチャン・スパーリングが、90歳で亡くなる直前に“インチキだった”と告白した。スパーリングは潜水艦のオモチャに木で作った首を据え付け、それを撮影して、ウィルソン医師に発表させたのだった。イタズラ好きだったウィルソンはジョークのつもりで発表したのだが、あまりに世間での反響が大きく、いまさらウソだといい出せないままに、罪悪感を抱いたまま世を去っている。ウィルソン医師こそ被害者だったわけだ。

 スパーリングは映画の製作プロダクション社長で、こういうトリックはお手の物だったようだ。ところで、なぜスパーリングがこんなイタズラを仕掛けたか、その理由が面白い。実はこの少し前、スパーリングはネス湖の湖畔を散歩中、巨大な足跡を発見、これぞ評判のネス湖の怪獣の足跡だ、と新聞社に報告した。だが、新聞社はそれを調査して、「単なるカバの足跡」と結論し(なんでスコットランド北の湖の岸辺にカバがいるのか? いたらそっちの方が事件じゃないのか?)、スパーリングをあざ笑った。それを根に持ったスパーリングは、新聞社をダマして意趣返しをしようとしたわけである。人の恨みはオソロシイ。そして、スパーリングが自分でなく、発表者にウィルソン医師を選んだのは、医者という社会的地位がある者が発表すれば、世間は信じるだろうと思ったからだという。

 この文章の後半部はだいぶ間違っている。まず、ネス湖畔で「ネッシー」の足跡を発見したのはマーマデューク・ウェザレル(Marmaduke Wetherell)という探検家である。また、ウェザレルが発見した足跡は「カバの足で作られた傘立て」を使ってつけられたものだと調査の結果判明している。そして、この一件で恥をかいたウェザレルが義理の息子であるクリスチャン・スパーリング(Christian Spurling )と一緒に「外科医の写真」を撮ったというのが真相である。

 つまり、唐沢の文章ではウェザレルの存在がなかったことにされているうえに、ネス湖畔にカバの足跡があったという謎も調べればわかるのにほったらかしにされたままなのだ。ちゃんと調べればいいのに…、いつもならそれで終わりである。

 ところが。唐沢俊一は過去に「外科医の写真」について正しい説明をしているのだから、わけがわからなくなってくる。『フィギュア王』94掲載の『唐沢俊一トンデモクロペディア』第8回「ネッシーを“創った”男」より。

 もちろん、この人気の衰えは、かつて少年雑誌などの“世界の謎と神秘”のような特集で定番だった医師、ロバート・ケネス・ウィルソンが1934年に撮った写真(俗に言う“外科医の写真”。もっともウィルソンは産婦人科だったが)が、60年後の1994年に、クリスチャン・スポーリングという老人が、実は自分の父親があの写真を細工したのだと告白し、ガセであった、と暴露されてしまったのである。

ネッシー復権のために、この怪物に関わり、この怪物の知名度アップに少なからぬ貢献をした、ある人物がいる。その名はマーマデューク・ウェザレル。探検家として著名で、イギリスの伝統ある大衆紙『デイリー・メール』から特命をうけ、1933年、目撃情報が当時相次いでいたネス湖に調査におもむいた。そして、彼は湖畔で、巨大動物の足跡を発見、これをネッシーの足跡だ、としてデイリー・メールに発表したのである。“外科医の写真”が発表される一年前のことであり、これはネッシーが初めて目撃証言以外の物的証拠を残したという発見であった。英国中、いや、世界中が沸き立った。

 しかし、マーマデューク・ウェザレルはその名声を長く保っていることは出来なかった。専門の動物学者たちの鑑定により、この足跡はネッシーのような恐竜か巨大爬虫類と思われるものの足跡ではない、と結論づけられてしまったからだ。……では、これは何の足跡だったのか? ……カバの、であった。もちろん、ネス湖にカバがいるわけはない。ウェザレルはかつがれたのである。ロンドンから偉い探険家がやってきて調査をする、と聞いた地元のいたずら者が、先回りをして、湖畔に、カバの足を使って作られた傘立てを使い、足跡をつけておいたのだ。まんまと一杯くわされたウェザレルは世間の笑い者になってしまった。

 そして彼はそれ以来世間を憎むようになりある復讐を企てた。それは、自分を笑った世間を、ネッシーの実在証拠でだましてやることだった。……そう、クリスチャン・スポーリングが、あの写真は父が偽造したものだと証言した、その父(義父)というのがマーマデューク・ウェザレルだったのである。人間のうらみというのは怖い。

 ちなみに『フィギュア王』94が発売されたのは2005年11月である。…どうして、正しいことを書いていたのに間違えてしまうんだろう。3年半の間に忘れてしまったのかなあ。しかし、「マーマデューク・ウェザレル」という人名や「カバの足で作られた傘立て」というアイテムは印象的だから忘れにくいんじゃないか?とも思う。…やはり、唐沢俊一ネッシーよりもずっと謎に満ちあふれた存在である。


「伝説のP&G製造機は実在する!! 灼熱の東京ビッグサイト最深部に唐沢俊一を見た!!」

夏コミはそんな感じで。

ウッーウッーウマウマ

ウッーウッーウマウマ

ラジオライフ 2009年 08月号 [雑誌]

ラジオライフ 2009年 08月号 [雑誌]

yonoyono 2009/07/09 15:56 普段P&Gで文章書いていると記憶力が落ちていくんですかね?

774774 2009/07/09 16:25 最近、ウィキペディアでは超常現象関連のソースとして唐沢氏の著作をお見かけするのですが厳しいものがありますね。
漫棚通信さんのブログ盗用事件がなければ超常現象研究家として売り出していたことでしょう。

唐茄子唐茄子 2009/07/09 16:45 これが『博覧強記の仕事術』P90にある「下手すると、自分の書いた作品すらわからなくなる。」というヤツの一端ですね。
毎回原稿を自分の中で咀嚼しないで、読んでは移し、読んではガセ化し、を繰り返していくと以前書いた文章の内容を忘れちゃうんですよ。
まるで、受験勉強の丸暗記の如く。

藤岡真藤岡真 2009/07/09 17:31  一度調べた(読んだ?)ことを、コロっと忘れているのですから、全然「強記」ではありませんね。

EBCDICEBCDIC 2009/07/09 17:52 ネッシーだのカバの足の傘立てだのの話は、唐沢のお仲間が既に本(「トンデモ超常現象99の真相」など)で散々書いてるじゃないですか。なんで今更いい加減なことを唐沢が書き散らさなければならないんだろう。
(と言いつつ、「トンデモ超常現象〜」という本も、読んでいて「ほんまかいな」と首をひねる箇所が多々ありましたけど)

トンデモブラウトンデモブラウ 2009/07/09 18:04 毎回どっかから文章をパクってくるから、『記憶』には残らないというだけでは?
事実の正確さは、パクり元に影響していると。
自分の書いた作品は、自分で考えた訳ではないので、ころっと忘れる。
まぁ書き写しただけなら、記憶的には普通そんなもんでしょう。

半農半漁人半農半漁人 2009/07/09 20:47 > いかにも首長竜、という感じの恐竜

首長竜って恐竜じゃないんですけど・・・

miduchimiduchi 2009/07/09 21:35 「のび太の恐竜」に登場するのは首長竜なんである。

と、先生ならのたまいそうな気がします。

kyoukyou 2009/07/09 22:14 この人、もうアルコールと糖尿の影響で、自分の書いた事を覚えられないんじゃないのでしょうか?
ネタが被りそうなら、過去に自分が発表した物を見直すとかしそうなものですが、そんな気力も無さそうだし。こんなユルユルなのは正常な状態とは思えません。
文章の中の他人に対する尊大な態度も、そこら辺が影響しているのかもしれませんな。

einein 2009/07/09 23:56 miduchiさんのコメントに便乗して…
ドラえもんで「外科医の写真」そのものが取り上げられてますね。
(てんとう虫コミックス第6巻、123ページ〜「ネッシーが来る」。厳密にはドラえもんではなくドラミちゃんのエピソードで、スネオのキャラが「ズル木」に代わってる)
その中では、この写真は「K・ウイルソン」が撮ったもので、動物学者「モーリス・バートン」の研究によって「潜ろうとしているカワウソのしっぽ」のように、実はかなり小さなものである、と反駁されていると描写されていました。

kensyouhankensyouhan 2009/07/10 00:08 コメントありがとうございます。

>yonoさん
こういう事態が起こったのはパクったせいなのでは?と思って調べましたけど、今回はちゃんと書いているようなんですね。だからこそ残念というか。
それとも見つけてないだけで実はあるのかも。

>774さん
ウィキペディアを編集する人も唐沢の著書をソースにするのはやめておいた方がいいと思いますけどね。

>唐茄子さん
唐沢俊一の超絶ブーメランテクがまたしても炸裂。

>藤岡さん
唐沢は記憶力に自信があるようなんですけどね。

>EBCDICさん
じゃあ、と学会としては唐沢がガセを書いているのを指摘しておかないといけませんね。

>トンデモブラウさん
唐沢俊一の文章を書き写しているとだんだん覚えてきちゃいますけどね。
…悪影響が出なければいいんですけど。

>半農半漁人さん
>首長竜って恐竜じゃないんですけど・・・
おー。これは勉強になりました。

>kyouさん
そもそもネタが被っている時点で問題なんですけどね。しかも劣化させているという。

>einさん
ありましたね。自分も『ドラえもん』で「外科医の写真」のことを知りました。

てつてつ 2009/07/10 00:14 自分が過去に書いた事は「ガセだったんじゃないか?」という不安があるんじゃないでしょうか。
「でも面倒だし、確実な部分以外は端折っておけばいいか!」とか。

通りすがり8号通りすがり8号 2009/07/10 04:46 wikipediaのジョージ・アダムスキーと宇宙友好協会の項目は最古の履歴を見るとそもそも唐沢俊一とソルボンヌK子の本を元に執筆されたようです。
まず『すごいけど変な人×13』をもとに書かれたジョージ・アダムスキー。
最古の執筆者http://ja.wikipedia.org/wiki/利用者:Kadzuwo
プロフに書かれたアンチサイトhttp://yamayangi.s27.xrea.com/tondemowiki/ウィキペディアSPAM
↑アダムスキーの項目を初めて執筆したのは故志水一夫のようです。
最も古い宇宙友好協会の項目http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=宇宙友好協会&diff=prev&oldid=13588292
「新・UFO入門」が唯一の参考文献ですね。
宇宙友好協会は匿名でIPしかわかりませんがこちらの執筆者は他の項目はアニメばかりです。
おそらく唐沢俊一のファンなのでしょう、トンデモ本の世界Rの間違いが指摘されています。

kokada_jnetkokada_jnet 2009/07/10 22:40 「カバの足で作った傘立て(のタグイ)」は、あちらでは、かつては、かなりポピュラーな家具だったようですね。
H・アレン・スミスの、プラクティカル・ジョーク(いたずら)についての古典的な著書「いたずらの天才」でも・・。
カバの足の家具をつかって足跡を公園につけていき、それが上水場の直前で消えていた。というイタズラが紹介されています。

この「いたずらの天才」って本は、かつての文春文庫の海外ユーモア物路線の中での人気アイテムで。江戸川乱歩も晩年の作品「ペテン師と空気男」を書くにあたって参考にしてますし。ホイチョイ・プロダクションもスピリッツで「いたずらの天才の息子」というリスペクト連載をしているくらいですから。
自称雑学王さんなら、おさえておいて欲しいところですが。

kensyouhankensyouhan 2009/07/20 23:46 コメントありがとうございます。

>てつさん
記憶力に問題があるとしか。

>通りすがり8号さん
ウィキペディアを信用できなくなりますね。もともとそんなに信用してませんが。

>kokada_jnet さん
カバの傘立てのような道具のことをどうして失念してしまったのか。