援助する前に考えようinひらつか

 平塚駅南口に市民活動センターがあります。多くの自治体では「改革」の名のもとに公設民営が当たり前のようになってるけど、ここは平塚市が運営する施設で、新しくてきれい。その平塚市が、市民活動を支援するために協働事業としてイベントやセミナーを共催してくれるというシステムがあります。今日はここで、例の「援助する前に考えよう」を、制作者の一人「ちえぞー」こと清水千絵さんを講師に呼んでやりました。彼女はどんな人かというと、こんな人。↓
開発教育 あしたのきのう

タイトルがわかりにくい?

 というわけで、ちゃんと平塚市市民部協働推進課の職員の方が会場にいてくれるわけです。今回の参加者は「身内」を除くと8人。あまり人が集まりそうもないと、事前から心配してくれたようです。そこで、「タイトルが一般の人にはわかりにくい」という話が出ました(これは「身内」からも出たんですが)。なるほど、そうか・・・と思ったんですが、帰ってからいろいろ考えてみました。ワークショップのタイトルはタイトルですから、それはそれでいいでしょう。意味的にストレートなタイトルで、そのまんまです。わかりにくいはずないですよね。すると、市民活動の講座としてのタイトルの問題かもしれません。そこで、思い出したのが、「人が集まる!行列が出来る!講座、イベントの作り方」(牟田静香・講談社+α新書)。これは、東京大田区の公共機関で講座やイベントの企画・運営をしてきた経験を、表題のような内容の本にまとめたものです。とてもおもしろく読めるし、目からウロコ。大変参考になります。
 例えば、この本の前書きに「男女共同参画セミナー」の話があります。ベテランの企画者たちは、「こんなに有名な講師を集めたのに何で人が来ないのだろう」と言っているところ、「こんなヘンなタイトルで、人が集まるのだろうか?」と思ったという話。そのとおりでしょうね。一般の人には「男女共同参画」なんて何だかわかりません。タイトルは確かに重要です。この本には、誰を対象にするのか、その対象者は何を求めているのかを明確にして企画することが重要で、そのうえで対象者の関心を引くタイトルや、チラシの作り方でこんなに結果が変わるという事例が紹介されています。そして、人が集まらないのは、天候のせいでも、時期や時間のせいでも、参加費のせいでもない・・・・・、こんな企画で、こんなタイトルで、こんなチラシで、人が来るわけないというダメ実践例が豊富に示され、結構ドキッとさせられます。
 ただ、今回のような場合はどうなんでしょう? 公共機関が市民向けに啓発講座を催す・・・で、どんな講座を企画すべきか・・・という場合と、もともと「この内容の講座をやりたい」という場合では、出発点が違うのではないか?と思うのですが。そこで、気づいてしまいました。もともと、この市民講座の協働事業というのは、市が市民から「企画」を募集して審査して採用しているわけで、「市民団体の企画を市が経済的に支援する」というよりは、市の講座事業の「企画委員」を、広く市民から募っているんだと解釈できるということです。と考えたら、大きな勘違いをしていたことになるんじゃないか。

なぜ、平塚で「援助する前に考えよう」?

 そもそも、T大学の学生たちが、家で眠っている文房具を集めて途上国に送ろう、という企画を考えて(いかにもありそうだ)、フリーペーパーなどでも呼びかけて広まっていることに違和感を持っていた方が、市の協働事業を知り、それなら平塚でこそ「援助する前に・・・」をやるべきだと思ったというのがきっかけ。市の事業だから、会場もタダだし、市が広報してくれるし。上記の本のように対象者(ターゲット)を考えたら、文房具を集めたことのある人、送ったことのある人。あるいは、そういう活動を褒め称えている人か、まぁ、そういったところになるはず。だとしたら、確かに市の広報に「援助する前に考えよう」という講座案内が載ってたところで、そういう人の目に止まるわけない。実際、今回来てくれた人は皆、もともと国際協力の意識の高い人たちで、DEARのML見てきた人もいて、それはそれでよかったけれど、当初の目的は?。目標到達度評価で言ったら「1」でした。今思えば、こういう結果はわかりきってることで、やるからにはちゃんと戦略がなければいけなかった。それは市がやってくれることじゃないから、そこまでこちらがちゃんとやれる態勢がなかったら、この協働事業というのは決して「おいしい事業」じゃないということです。このへんがあいまいなまま、講師を頼んじゃって、ちえぞー氏には悪いコトしましたね。ゴメンナサイ。「地球の木」としては反省しなければならないと思ってます。