巻頭や章初めに付す題辞、引用句のこと。
たとえばスタンダールの『赤と黒』には1章ごとにたいへん凝ったエピグラフが付されている。
「小説、それは街路にそうて持ちあるく一つの鏡である」
などは特に傑作として知られていよう。日本ではあまり見かけないが、西洋趣味で用いられるケースがある。
たとえば堀辰雄の「風立ちぬ」に見られる、
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
などは典型であろう。
太宰治は「二十世紀旗手」で
――(生れて、すみません。)
という日本人の恥の文化を象徴する名文句を残した。