第2部 衰頽から再生へ——『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』論 第3章 衰頽に宿る可能性——『ハウルの動く城』① 第1部で確認したように、『もののけ姫』と『千と千尋』は〈自然〉の死というパラダイムの上に成立しており、ある種『ナウシカ』や『トトロ』からの退却戦であったといえる。『ハウルの動く城』(以下、『ハウル』)もまた、こうした後退のなか制作された作品ではあるが、同時に前二作とは異なる要素も含まれている。その新しい要素とは、すでに生命力を失い、死に至る過程にあるものごとが、再び息を吹き返し、活性化していくプロセスである。本章では、その過程を「老い」と「ゴミ」に関して確認していく。 3-1 対…