ジョン・ヴァーリイの短編「逆行の夏」を紹介します。 ジョン・ヴァーリイは70年代末から活動しているアメリカのSF作家で、私のとても好きな作家の一人だ。SFファン向けの説明をすると、だいたいニューウェーブとサイバーパンクの中間くらいの作風だと思う。 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ジョン ヴァーリイ 早川書房 Amazon つべこべ言う前に、まずは私のとても好きな短編「逆行の夏」(1975年発表)のあらすじを紹介してみよう。 太陽系に住処を広げた人々が裸で過ごし、当たり前のように性転換する未来。水星に住む者は肺に機械を埋め込み、体表に形成される流動的な銀色の宇宙…